農業研究本部

水質環境からみた牛糞尿の許容限界量
酪農地帯における肥料成分の流出と水質保全(第6報)

大村 邦男、黒川 春一

北海道立農試集報.64,1-12 (1992)

 牛糞尿の適正施用量について、牧草生育、牧草体内成分の面から整理するとともに、糞尿を大量に施用した場合に流出する窒素成分量から、水質環境を保全するための許容限界量を検討した。  牛糞の大量施用が、牧草の発芽率及び生育にもたらす影響は判然としなかった。しかし、糞を大量に施用した場合には窒素の流出が増加することから、水質保全を考慮した施用量(許容限界量)は裸地条件で10t/10a、草地では50t/10aまでと考えられた。  一方、草地に対する牛尿の施用量は、飼料の品質を考えた場合<適正品質維持容量>は4t/10a(N20kg相当)、また、牧草生育を維持するための施用限界量<生育維持容量>は10t/10a(N50kg相当)と区分された。  なお、尿を大量に施用(20t/10a)した場合には牧草生育が阻害されると共に高濃度の窒素の流出が認められた。  このことから、水質保全を考慮した場合の尿の許容限界量は10t/10a年(N50kg相当)までと考えられた。


全文(PDF)