網走管内の畑地における緑肥および麦稈の分解過程
今野 一男、菊地 晃二、平井 義孝
北海道立農試集報.64,13-24 (1992)
網走管内の畑地において、各種緑肥および麦稈の秋埋設後の分解過程をガラス繊維ろ紙法とリターバック法を用いて検討した。 6ケ月後の乾物減少率は、緑肥の場合49~68%(ガラス繊維ろ紙法)および50~74%リターバック法)、麦稈の場合28%(ガラス繊維ろ紙法)および24%(リターバック法)であった。また1年後では、緑肥の場合68~80%および82~96%、麦稈の場合59%および57%であった。 炭素の分解と埋設時の化学成分組成との関係をみると、分解率はC/N比の低いものほど、またC/N比が同一の場合には炭水化物含量が高く、リグニン含量の低いものほど大きかった。 窒素の分解はC/N比の小さいものほど大きく、ガラス繊維ろ紙法の結果では、C/N比が約40以下の場合分解率がプラスとなり、またC/N比が約25以下の場合無機化が進むことを認めた。 一方、有機成分の分解率は糖・デンプン〉へミセルロース≒セルロース>リグニンの順で、緑肥中の糖・デンプンは最初の6カ月間で大部分が分解された。また、麦稈のC/N比および還元糖割合は、1年後にはそれぞれ41および35%まで低下した。
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