農業研究本部

アズキの粒大及び種皮色の量的変異に関する遺伝

島田 尚典

北海道立農試集報.65,11-20 (1993)

 アズキの粒大とその変異係数(C.V.)及び種皮色の量的変異についての遺伝率及び遺伝子数を,2組合せの両親及びF1~F3集団または系統を用いて推定した。粒大は,広義の遺伝率が0.8前後,狭義の遺伝率も0.55~0.78と高く,遺伝子数はn=2と推定された。粒大のC.V.では,広義の遺伝率が0.5以下,狭義の遺伝率は0.08~0.38と低かった。種皮色の量的変異では,L(明度),C(彩度),H(色相),a(赤みの強さ),b(黄色みの強さ)の5つのパラメーターについて推定を行った。広義の遺伝率は0.57~0.76とかなり高かったが,狭義の遺伝率は粒大に比べると低かった。その中では,Hが0.37~0.57と比較的高かったが,他のパラメーターは,組合せや推定方法による違いが大きかった。以上より,粒大については初期世代からの選抜が有効であるが,粒大のC.V.や種皮色では,初期世代での選抜は粒大ほど有効ではないと判断された。


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