農業研究本部

ばれいしょ新品種「ムサマル」の育成について

村上 紀夫、奥山 善直、浅間 和夫、伊藤 平一、入谷 正樹、松永 浩、千田 圭一

北海道立農試集報.66,35-48 (1994)

 「ムサマル」は、北海道立根釧農業試験場において、北海道に適するジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、油加工適性の高い品種を目標に育成された新品種である。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有しやや高でん粉価の「ツニカ」を種子親、良食味の育成系統「根育20号」を花粉親として、1980年に人工交配し、以降選抜を図ってきたものである。1992年6月に農林水産省の新品種に認定され「ムサマル」(「ばれいしょ農林32号」)として命名、登録され、北海道の奨励品種となった。  「ムサマル」は中晩生に属し、ジャガイモシストセンチュウの寄生型Ro1に対する抵抗性主働遺伝子Hlを持ち、シストの増殖を減らすことができる。フレンチフライの褐変程度は微で、「ホッカイコガネ」並のフレンチフライ加工適性を持つ。大粒でフレンチフライ加工に利用頻度の高い大いも重割合が多く、高でん粉価を示し、製品歩留りが高い。疫病による塊茎腐敗抵抗性は強い。水煮後の肉質はやや粉質を示し、食味は「ホッカイコガネ」並である。  適地は北海道一円であり、栽培見込み面積は1,000haである。


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