農業研究本部

Aphanomyces cochlioidesによる連作テンサイの生育阻害について
I 側根への感染がテンサイの生育に及ぼす影響

清水基滋

北海道立農試集報.67,55-63 (1994)

 テンサイを連作すると初期生育が遅延し、その結果収穫時の根重の減少が著しくなる。この初期生育の遅延は、側根の掲変枯死と、それに伴う側根量の滅少によるものと考えられる。このような生育阻害のみられる連作土壌を殺菌すると、側根の掲変枯死は見られなくなり、全体の生育が旺盛となることから、初期生育の阻害要因として土壌微生物が関与しているものと考えられた。側根から分離された数種の糸状菌のうち、Aphanomyces cochlioidesは苗立枯病や黒根病の病原菌であるが、これらの病害が発生しない条件下でも、本菌は側根に感染して掲変枯死を起こし、テンサイの生育を阻害した。以上のことから本菌がテンサイ連作障害の主要因となっている可能性の高いことを明らかにした。


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