農業研究本部

あずき新品種「きたのおとめ」の育成について

藤田 正平、島田 尚典、村田 吉平、白井 滋久、原 正紀、足立 大山、千葉 一美

北海道立農試集報.68,17-31 (1995)

 「きたのおとめ」は、北海道立十勝農業試験場で、対冷、対病、多収を育種目標に育成された新品種である。対冷、良質、多収の「エリモショウズ」を母とし、本州から導入した「円葉(刈63号)」由来のアズキ落葉病抵抗性を持つ育成系統「2025(F5)」を父として1982年に交配し、選抜固定を図ったものである。1989年以降、「十育127号」の系統名で生産力検定試験、地域適応性試験等を行った結果、1994年北海道の奨励品種に、また農林水産省で新品種に認定された。  本品種は「ハツネショウズ」に続く中生のアズキ落葉病抵抗性品種であり、また初めてのアズキ萎凋病抵抗性品種である。子実量はやや多収であり、子実の形、種皮色とも主要品種の「エリモショウズ」と類似し、外観品質は「ハツネショウズ」に優る。低温抵抗性は「ハツネショウズ」より強く、「エリモショウズ」並の中に属する。栽培適地は十勝中部、道央中・南部及び道南とこれに準ずる地帯で、アズキ落葉病・萎凋病の発生地帯である。


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