農業研究本部

ペレニアルライグラス放牧草地の集約利用技術

石田 亨、寒河江 洋一郎、川崎 勉、板東 健、裏 悦次

北海道立農試集報.68,51-60 (1995)

 ペレニアルライグラス放牧草地の集約的利用技術について、年11回放牧利用(集約区)と、年6回放牧利用(対照区)を設け、草地の維持と家畜の増体量によって比較検討した。その結果、(1)集約区の放牧専用に利用した草地の経年化による牧草の年間現存草量の低下は避けられないが、1番草を採草利用する兼用や放牧専用と兼用を隔年で実施する交互利用によって抑制でき、草種構成の悪化を防ぎ、越冬前のペレニアルライグラスの茎数が増加し、裸地率は減少した。(2)放牧草地のTDN生産量に対する摂取TDN量の割合は、集約区が82%と対照区の77%より高い傾向を示した。(3)家畜の日増体量は、集約区がいずれの年次も高い傾向を示し、特に4年次(1991年)では有意に高かった(P<0.05)。また、4カ年平均のha当たり家畜増体量は、集約区659kg、対照区611kgと集約区が約8%高い値であった。これらのことから、集約利用は、良好な放牧草地を維持し、草地の家畜生産性を高める有効なり用技術と結論した。


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