農業研究本部

北海道で発生したBortytis cinereaによる花き類の灰色かび病

堀田治邦

北海道立農試集報.69,9-17 (1995)

 北海道で発生した各種花き類のBotrytis病害について調査した。カラー、アルストロメリア、デルフィニウム、ラークスパー、ニゲラ、アスチルベ、アスター、バラ、ポインセチアおよびライラックで葉、茎、花蕾および花弁に発病が認められた。罹病部から向一の糸状菌が分離され、分離菌株は分離源の花き類に病原性を示し、インゲンマメおよびイチゴの切離葉にも病原性を有した。また、培養菌株はHoldfasts、菌核、分生子および小型分生子を形成した。分生子は大きさの平均が7.8~9.8×11.2~14.2umで胞子表面の徴細構造はいぽ状であった。以上の結果から、分離菌株はすべてBoteytis cinerea Persoon:Friesと同定された。本邦ではカラー、アルストロメリア、デルフィニウム、ラークスパー、ニゲラ、アスチルベ、ポインセチアおよびライラックで本病の発生報告がないことから、灰色かび病(新称)としたい。また、アスター、バラの灰色かび病は北海道で初めて認められた病害である。


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