農業研究本部

北海道産小豆の製アン特性に及ぼす品質関連形質の影響
第3報 小豆の煮熟増加比とアン収率の関係

加藤 淳、目黒 孝司、市川 信雄

北海道立農試集報.71,27-34 (1996)

 北海道産小豆の煮熟増加比とアン収率の関係について、6年間にわたり485点の試料を用いて調査した。煮熟増加比およびアン収率には品種間で差異が認められたが、年次による変動が大きかった。煮熟増加比とアン収率の間には高い正の相関関係が認められ、煮熟増加比の大きな小豆では、アン収率が高い傾向にあった。煮熟時間の延長に伴い煮熟増加比は大きくなったが、90分以降では変化が小さくなり、アン収率の増加は認められなかった。煮熟時間90分以降では、供試4品種全てでアン収率が60%を越え、品種間の差異を比較するには煮熟時間70分が最適と考えられた。アン収率は煮熟増加比を説明変数とした2次関数で表すことができ、非常に高い精度での推定が可能であった。以上のように、煮熟増加比はアン収率と高い相関関係にあることが明らかとなり、小豆の煮熟特性を判断する上で最も重要な形質の一つであると考えられた。本特性値を説明変数とした回帰式は、アン収率を推定する上での有効な手段となり得るものと判断された。


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