農業研究本部

水稲新品種「きたいぶき」の育成について

前田 博、相川 宗嚴、柳川 忠男、佐々木 一男、田縁 勝洋、丹野 久、菅原 圭一、吉田 昌幸、菊地 治己

北海道立農試集報.71,49-63 (1996)

 水稲「きたいぶき」は、1985年に北海道立上川農業試験場で交配した「上育395号(はやまさり)/上育397号(きらら397)」の雑種後代から育成されたもので、1993年に農林水産省の新品種として認定され、「きたいぶき」(「水稲農林318号」)として命名、登録され、北海道直播栽培用の奨励品種となった。  本品種は、出穂期が極早生、成熟期が早生の中、短稈の穂数型で、ふ先色は黄白、芒性は稀極短である。低温下での直播による苗立ち性は「はやまさり」並に良く、障害型耐冷性はやや強、いもち病耐病性は強で真性抵抗性遺伝子Pi-a,i,kを持つと推定される。耐倒伏性は中~やや強、玄米収量は「ハヤカゼ」より劣るが、「はやまさり」に優る。玄米品質および食味は「はやまさり」「ハヤカゼ」に優り、食味は「ゆきひかり」並に良い。  以上の特性から、「きたいぶき」は、上川中南部、留萌中南部、石狩、空知、後志、胆振、日高、渡島、桧山の各支庁管内の良地帯において、直播栽培用品種として、「はやまさり」の大部分に替えて推奨できる。


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