農業研究本部

水稲新品種「ハヤカゼ」の育成について

丹野 久、國廣 泰史、江部 康成、新橋 登、菊地 治己、菅原 圭一、本間 昭

北海道立農試集報.72,23-35 (1997)

 「ハヤカゼ」は,1982年に北海道立上川農業試験場で交配した「北育74号 × 道北36号(キタアケ)」の雑種後代から育成された。1990年3月北海道の奨励品種として採用され(系統名:道北47号),同年5月農林水産省に新品種「水稲農林303号」として登録された。本品種の出穂期は「はやこがね」よりやや遅いが,登熟が早いため成熟期は逆にやや早い早生種である。稈長,穂長は「はやこがね」とほぼ同じで,草型は穂数型である。・先は黄白色で,無芒である。障害型耐冷性は「はやこがね」並のやや強~強で,いもち病抵抗性は強である。耐倒伏性はやや強,収量性は「はやこがね」並である。玄米品質は「はやこがね」より良く,食味も「はやこがね」より優り「上育393号」並に良い。北海道の北部,東部の気象条件の最も厳しい稲作限界地帯に,「上育393号」の配合品種として推奨された。


全文(PDF)