農業研究本部

水稲糯品種「風の子もち」の育成について

丹野 久、前田 博、新橋 登、佐々木 一男、田縁 勝洋、柳川 忠男、相川 宗嚴、吉田 昌幸、菅原 圭一、菊地 治己、木内 均、平山 裕治

北海道立農試集報.72,55-68 (1997)

 「風の子もち」は,1987年に北海道立上川農業試験場で交配した「上系85201 x 北育糯80号(はくちょうもち)」の雑種後代から育成された。1995年3月北海道の奨励品種として採用され(系統名:上育糯417号),同年5月農林水産省に新品種「水稲農林糯333号」として登録された。本品種の出穂期は「たんねもち」,「はくちょうもち」より遅く,登熟も「たんねもち」並に遅いため,成熟期は「たんねもち」より遅い中生種である。稈長,穂長は「たんねもち」,「はくちょうもち」より長く,草型は偏穂数型である。・先色は黄白,芒性は少の短芒である。障害型耐冷性は「はくちょうもち」より優る強~極強で,いもち病抵抗性は中,紅変米の発生は「はくちょうもち」より多いものの「たんねもち」並かそれよりも少なく,早期異常出穂の発生率は「たんねもち」より低く「はくちょうもち」並である。耐倒伏性は「はくちょうもち」に近いやや強,収量性は「たんねもち」,「はくちょうもち」より高い。玄米の粒形は中,粒大は「たんねもち」,「はくちょうもち」より大きい。玄米品質は「たんねもち」に優り「はくちょうもち」並に良い。  上川(士別以南)と,空知,石狩,渡島各支庁管内およびこれに準ずる良地帯において「たんねもち」の大部分および「はくちょうもち」の一部分に替えて推奨できる。


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