農業研究本部

水稲新品種「空育150号」の育成について

佐々木 忠雄、本間 昭、田中 一生、太田 早苗、吉村 徹、沼尾 吉則、和田 定、佐々木 一男、三分一 敬、前田 博、犬飼 剛、楠谷 彰人、新井 利直、 鴻坂 扶美子、鈴木 慶次郎

北海道立農試集報.72,69-83 (1997)

 「空育150号」は1988年に北海道立中央農業試験場において,「上育394号」を母,「空育133号」を父として交配した雑種から育成され,1996年2月に北海道の奨励品種として認定された。出穂期及び成熟期は中生の早であるが,場所により「ゆきひかり」および「きらら397」より2~4日早い。稈長は「ゆきひかり」および「きらら397」並みのやや短稈穂数型品種である。籾の先に稀に短芒を有し,割籾の発生は「ゆきひかり」並みないし少ない。障害型耐冷性は「ゆきひかり」並みの強、いもち病耐病性は葉いもち,穂いもちとも「きらら397」並みのやや強で,真性抵抗性遺伝子型はPi-a,iを有すると推定された。耐倒伏性は「ゆきひかり」並みの中,玄米収量は「ゆきひかり」並みである。玄米の品質は「ゆきひかり」および「きらら397」並みであるが,腹白の発生は両品種より少ない。精白米の白度および食味は「きらら397」並みで良好である。以上の特性から,本品種を「ゆきひかり」の大半および「きらら397」の一部にかえて,作付け基準に基づく適性な品種配合を図ることにより,道産米の食味向上および良食味米の安定生産に寄与できる。


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