農業研究本部

ばれいしょ新品種「花標津」の育成について

千田 圭一、伊藤 武、関口 建二、村上 紀夫、奥山 善直、入谷 正樹、松永 浩

北海道立農試集報.74,1-17 (1998)

 ばれいしょ「花標津」(ばれいしょ「根育29号」)は,1984年に北海道立根釧農業試験場において,ジャガイモシストセンチュウおよび疫病抵抗性を有する調理用品種の育成を目標に交配した,「S.tuberosum subsp. andigena (W553-4)」×「R392-50」の雑種後代から選抜された系統である。「根育29号」の地方番号で各種試験を重ねた結果,1997年に北海道の奨励品種として採用され,農林水産省により「花標津」(ばれいしょ農林38号)として命名登録された。枯凋期は中晩生で,上いも平均一個重が小さいいも数型品種である。塊茎は扁球形で目が深く,淡赤皮,淡黄肉である。でん粉価は「男爵薯」並であるが,煮くずれが少ないことから煮物に向く調理用品種である。疫病圃場抵抗性が強く,疫病無防除栽培においても,収量や品質の低下が少ない。


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