農業研究本部

Fusarium oxysporumによるネギ根腐萎ちょう病の発生

新村 昭憲、坂本 堂崇、林 哲央、星 春光、故谷井 昭夫

北海道立農試集報.74,35-41 (1998)

 北海道桧山北部地域のハウス栽培において発生したネギの萎ちょう症状は、葉先が枯れ、根部は激しく腐敗ししているものの、基盤部並びに葉鞘部に異常は認められなかった。本症状のネギの根からはPSA培地にオレンジ色の色素を産生するフザリウム菌が高頻度に分離され、同菌の接種により病徴が再現された。分離菌は大型分生子、小型分生子および厚膜胞子を形成し、小型分生子は短い分生子梗上に擬頭状に形成され、Fusarium oxysporum(Schlech.)Snyd.etHans.に一致した。 本病原菌は、ネギの葉鞘部には病原性が無く、根のみに病原性を示した。また、タマネギに乾腐症状を示さないことからネギ萎ちょう病とは明らかに相違し、未報告の病害であることから、本病をネギ根腐萎ちょう病と命名した。


全文(PDF)