農業研究本部

ごぼうの発芽及び生育特性

西田忠志

北海道立農試集報.74,43-51 (1998)

 ごぼうの省力安定生産技術確立の一環として,発芽及び生育に関する基礎的な特性を検討した。ごぼうの種子は10~36℃の範囲で発芽が可能であるが,適正な温度は21~30℃であった。10~35℃の水に種子を浸漬することにより,浸漬した時間の分だけ発芽を早めることができた。しかし発芽率については,浸漬処理の有無にかかわらず90%前後であり,処理による差はなかった。播種深度が4cmよりも深くなると,発芽率が極端に低下するとともに,発芽の揃いも不良になった。最適な深度は2cmであり,乾燥時の播種でも鎮圧を適正に行えば発芽に問題はなかった。5月に播種して10月以降に収穫する“晩春まき”における生育の推移を検討した結果,ごぼうの生育期は,播種~60日目を生育が緩慢な“初期”,60日~120日目を生育が旺盛となる“中期”,120日以降を葉が枯凋して根が充実期にはいる“後期”に分けることができた。根重・根の乾物率・有効根長・尻こけ指数といった指標が晩春まきでの目標値に達するのは,ほぼ播種後120日頃の葉の最大繁茂期であり,中期における生育がごぼうの収量及び品質に大きな影響を及ぼすことがわかった。


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