農業研究本部

北海道における被覆肥料の窒素溶出特性

奥村 正敏、三木 直倫、美濃 健一、長谷川 進、林 哲央

北海道立農試集報.76,9-15 (1999)

 樹脂型被覆肥料の北海道内の野菜畑における溶出特性を検討した。5月上旬~6月中旬に施用した場合の80%窒素溶出日数は,25。C条件の標準溶出日数40日タイプ(メーカー表示)で70日前後であった。7月中旬開始の場合には50日程度に短縮され,とくに平均地温が25。C程度と高い場合には40日未満であった。また6月中旬に施用した70日タイプでは90日前後であった。窒素溶出は施用時の地温に律速され,地温が高いほど施用初期の溶出が大きく,80%窒素溶出日数は短縮される。一方,溶出におよぼす降水量(土壌水分)の影響は小さく,土壌間差,地域間差,年次間差も小さかった。供試した被覆肥料の窒素溶出は,Y=aTn(Y:溶出率%,T:施用期間の平均気温または地温の積算値。C,aおよびn:定数)の式で表され,おおよその窒素溶出率を予測することができる。本式ではaの値が大きいほど施用初期の溶出が大きく,nの値が大きいほど初期溶出以後の窒素溶出率が高まることを示す。ちなみに40日タイプでは,Tが積算気温の場合,施用開始後30日間の平均気温が25。Cの高い場合を除き,a;3.06,n;0.46であり,70日タイプでは6月中旬からの施用でa;0.30,n;0.76であった。


全文(PDF)