場長室過去記事:20260305 「道北農業新技術2026」ダイジェスト
先日(2月25日(水))、 「道北農業新技術2026」 を無事に開催することができました。たくさんの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。また、開催にあたってご協力をいただきました関係機関のみなさまに厚く御礼申し上げます。
発表会の様子について、簡単ですが、いくつかの写真とあわせてご紹介いたします。いくばくかの雰囲気だけでもお伝えできましたら幸いです。

まず、開会にあたって、恐縮ながら場長(私)かから御挨拶を申し上げさせていただき、さらに、後援をいただいた比布町・村中町長より歓迎と試験研究への期待がこもったご挨拶をいただきました。※町長ご自身のインスタグラムにも当発表会の様子をあげていただいています。ありがとうございます。
【口頭発表】
・直播栽培に向く水稲新品種!たくさんとれて美味しい「空育198号」
直播などの省力栽培に適した特性の新品種です。この発表だけを聴きに来られた方もいらっしゃり、期待の高さを感じました。成熟が早く、倒れにくく、粒が大きめで、食味も良好です。欠点としては、低温条件での苗立が「えみまる」にやや劣ります。春先の気温が低めの地域では試作を行いながら導入の可否を検討していただきたい、といった補足説明がありました。(パンフ、成績概要書)

苗立の特性は以前の品種「ほしまる」と同程度ですので、「ほしまる」の直播栽培に慣れている方には違和感なく導入いただけるはずです。
・多収で倒伏に強いパン用小麦新品種「春紬(はるつむぎ)」
栽培しやすいパン用の春まき小麦品種です。倒伏の発生やフォーリングナンバーの低下といった雨の影響を受けにくい特徴があります。管内でも栽培の多い「春よ恋」の一部、および「はるきらり」の置き換えを見込んでいます。(パンフ、成績概要書)

発表予定者が急遽不在となったため代役で研究部長が説明しました。まるでこの品種を担当していたかのような語りに、元小麦育種担当(「きたほなみ」、「つるきち」育成者のひとりです)の本領を垣間見ました。
・病害虫に強くポテトチップスがきれいに揚がる!ばれいしょ新品種「北育33号」
「トヨシロ」を置き換え対象品種とした病害や障害に強い新品種です。高温で発生しやすい病害や生理障害に強く、ポテトチップなどの加工原料として期待できます。こちらも発表予定者不在のため代役で場長が説明しました。(パンフ、成績概要書)
・土壌の蓄積リンを積極活用! 直播てんさい、加工用ばれいしょ、春まき小麦、たまねぎの新しいリン酸施肥
土壌診断が前提となりますが、リン酸肥沃度の高い畑では、施肥を現行標準量よりもかなり減らしても収量は低下せず、減肥した分だけ収益が向上するという内容です。長年の土壌改良の効果で、リン酸が十分蓄積されてきた畑が多いことが分かっておりますので、リン酸の「貯蓄」をしっかり活用・運用する施肥の考え方となります。この成果は、作物ごと4つの研究成果に分かれているものを、まとめて報告しました。(直播てんさい:パンフ・成績概要書、加工用ばれいしょ:パンフ・成績概要書、春まき小麦:パンフ・成績概要書、たまねぎ:パンフ・成績概要書)
作物毎に施肥量や、減らしても問題のない基準値が異なります。今後数年かけて、作物毎にリン酸施肥基準を改訂していく予定です。生産者のみなさまには、今年から数年間、普及センターを通じて提供される営農情報にご注目ください。
・土寄せ培土で雑草を抑え密植と追肥で増収!大豆有機栽培のコツ
かなり早い時期から培土を行うことで雑草の発生をかなり抑制できること、数量の低い場合は有機質肥料(ペレット鶏糞)の追肥で増収することなどが説明されました。除草の効果など、有機農業に限らず通常の栽培でも活用出来る内容がありそうです。(パンフ、成績概要書)
・年明けも道産かぼちゃを食卓に!おすすめ品種と省力栽培・貯蔵技術
整枝を行わない省力栽培に向いた品種の選定や施肥方法、乾燥および貯蔵方法など盛りだくさんの内容です。特に、乾燥中の送風は、温度によって効果が真逆となり、例えばかぼちゃ果実の温度が15℃以下では送風しない(送風すると腐敗しやすい)、それより高い温度では必ず送風(送風しないと腐敗が増える)という情報が紹介されました。保管中に腐敗する原因は「つる枯病」菌が関係している場合が多く、この菌の活動を抑えるにはカボチャ果実の表面をいかに湿らせないかが鍵とのことです。(パンフ、成績概要書)
・燃料削減と増収を両立!環境制御によるアルストロメリアのハウス栽培
アルストロメリアは切り花として人気の高い花種です。この技術成果は、温度やかん水、二酸化炭素の自動制御を組み合わせることで、労力を軽減しながら収益性が大きく改善するという技術です。いわゆる「環境制御技術」と呼ばれるもので、他の野菜にも応用できる考え方が含まれます。アルストロメリアの花の写真は右の「パンフ」(リンク先)をご覧ください(パンフ、成績概要書)

・令和8年に特に注意を要する病害虫
昨年の病害虫の発生状況と、最近の高温傾向で注意すべき病害虫について説明しました。気温の影響で、特に害虫の種類や発生、発生時期が変わってきている可能性があり、注意が必要です。主要な病害虫の発生情報は病害虫防除所のホームページで公開しています。また、各地域の普及センターから発信される営農情報にもご注目ください。(パンフ、成績概要書)

発表の中では、虫の見分け方についても補足がありました。葉裏に産み付けられる卵のかたまり(卵塊)に毛が有るか無しかで判別できる、など、マニアックな(専門的な)知識が必要な場合があります。生産現場で不明な害虫が発生した場合は、まずはお近くの普及センターにご相談ください。現場での判別が容易でない場合は普及センターを通じて農業試験場にて調査いたします。
● 普及活動事例発表(上川農業改良普及センター上川北部支所)
下川町でのフルーツトマトの栽培について、草創期の取組からJAや町と協力した生産拡大とブランド化、最近の環境制御など新しい技術の導入状況など、たいへん素晴らしい刺激的な事例を共有いただきました。あのトマト、おいしいんですよね。
スライドがきれいで、説明もわかりやすく素晴らしかったです。(写真は省略させていただきます)
● 地域農業技術支援会議の紹介(北海道上川総合振興局)
「地域農業支援会議」は振興局(行政)、普及センター(普及)、農業試験場(研究)が連携しながら、地域の農業技術に関する困りごとや要望に取り組む枠組みです。この活動について、振興局の担当主査(いつもお世話になっています)からご紹介いただきました。
地域の普及センターやJA、役場を通じて、いつでもご要望を受け付けています。(写真は省略させていただきます)
【ポスターセッション】口頭発表課題を含め15の新技術等をポスターでマンツーマン解説
長めの休憩時間を設けて、ポスター発表を行いました。
閉会にあたって、上川農業改良普及センター山本所長より、御挨拶をいただきました。気候変動への対応など現場が直面する課題について、普及と試験研究が連携しながら取り組んでいくことの大切さを改めて確認させていただきました。
なお、遠方からお越しの方もいらっしゃるなか、進行の不手際により終了時間が予定を大幅に超過してしまったことを、この場を借りてお詫び申し上げます。来年に向けての反省といたします。

なにより、まず場長(私)の開会あいさつから予定をオーバーしていました。反省しています。
今年普及に移された新技術の一覧については、こちらのページをご参照ください。
道総研農業試験場では毎年この時期に、全道及び各地域で「新技術発表会」を開催し、試験担当者本人から概要説明を行う機会を設けています。
2026年の開催情報
| 地域(専門) | 主催 | 開催日 | 場所 | 案内リンク・申込など |
|---|---|---|---|---|
| 全道(全分野) | 道農政部・道総研農業研究本部 | 2月20日(金) | 札幌市(会場のみ) | HPから事前申込2/13まで |
| 道北地域 | 上川農試 | 2月25日(水) | 比布町(会場のみ) | 事前申込あり(当日受付でもご参加いただけます) |
| 道央地域 | 中央農試 | 2月27日(金) | 江別市(会場のみ) | 詳しくはこちら |
| 道南地域 | 道南農試 | 2月27日(金) | 北斗市(会場・Zoom併用) | |
| 十勝地域 | 十勝農試 | 2月25日(水) | 幕別町(会場のみ) | 事前申し込みあり |
| オホーツク地域 | 北見農試 | 2月25日(水) | 北見市端野町(会場のみ) | 事前申し込み(当日受付でもご参加いただけます) |
| 宗谷地域 | 酪農試天北支場 | 3月11日(水) | 浜頓別町(会場のみ) | 事前申し込み2/27まで |
| 畜産分野 | 畜試・十勝農協連・NPO法人グリーンテクノバンク | 2月27日(金) | 帯広市(会場のみ) | 事前申し込みが必要です |
| 花野菜分野 | 花野菜技術センター | 2月24日(火) | オンライン(Zoom) | 農業関係者を対象(上限200名)・HPより参加登録 |
