水産研究本部

試験研究は今 No.507「オホーツク海におけるホタテガイの成長モニタリングについて」(2003年9月12日)

オホーツク海におけるホタテガイの成長モニタリングについて

はじめに

  北海道におけるホタテガイの生産量および生産額は、魚種別第1位であり本道水産業の中核産業であると言えます。オホーツク海域では輪採区制種苗放流漁業が行われていますが、1989年以降、数回貝柱歩留の低下等の成長不良現象が観測されています。成長不良は、ホタテガイ価格低下の要因となることから、その要因を明らかにすることはホタテガイ漁業の安定化を図る上で重要です。本事業は、ホタテガイの成長と海洋環境をモニタリングし、ホタテガイ成長不良の要因を明らかにすることを目的としています。

  今回は、観測が始まった1992年以降で極めてホタテガイの成育状況が良かった2002年について詳しく説明していきます。

結果と考察

1.海洋環境
  図1に2002年における常呂漁場の底層水温を示しています。2002年の底層水温は春先(4~6月)に平年よりも1~3度ほど高く推移しており、7月以降はほぼ平年並みでした。餌環境の指標である底層のクロロフィルa 濃度は、春先に平年よりも低い値を取りましたが、6月以降は平年を上回ることもありました(図2)。以上の結果、2002年の海洋環境の特徴としては、春先の底層水温が平年よりも高く、餌環境としてはほぼ平年並みであったと考えられました。
    • 図1、2
2.ホタテガイの成育状況
  ホタテガイの生殖巣指数と貝柱重量の季節変化を図3と4に示しました。生殖巣指数はホタテガイの産卵時期を示す指標で、ホタテガイが産卵するとこの値が下降します。生殖巣指数は平年であれば5月に最大値を取るのですが、2002年には4月に最大値を取りました。これは2002年の産卵が平年に比べ1ヶ月ほど早かったことを示しています。ホタテガイの産卵は水温上昇に誘発されることが分かっていますので、2002年の産卵が平年に比べ早かったことには、春先の高水温が関係していると考えられます。一方、貝柱重量は産卵が終わった5月以降に平年値を上回りました。更に、統計的手法を用いて2002年のホタテガイの総合的な成育状況を算出すると1992年以降で2位と極めて良好であることが示されました。ホタテガイの成長が良かった要因としては、春先の高水温により産卵が早まり、平年であれば生殖巣の発達に使用される餌が、貝柱等の他器官に配分されたためと考えています。

  今回はホタテガイの成育状況が良かった2002年の結果を報告しましたが、今後もデータを蓄積し、次の機会には成長不良現象についても報告する予定です。
(網走水産試験場資源増殖部 品田 晃良)
    • 図3、4