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ホタテガイ外套膜で王蝶(マツカワ)の稚魚を育てる!!
はじめに
ホタテガイ外套膜(通称:ミミ)はホタテガイ全重量の7~8パーセントを占め、その資源量は全道で約3万トンと推定されています。ホタテ加工場では他の内臓とともに外套膜も廃棄物として処理されていますが、最近では廃棄物処理コストの低減化のため、自動分離装置を導入し、新たな利用途の開発と廃棄物の減量化を進める 動きもみられるようになりました。網走水産試験場紋別支場では、このホタテガイ外套膜が養魚用飼料の主原料である魚粉(ミール)の代替とすることができないかと考え、平成13年度からの3年間、ホタテガイ外套膜飼料によるマツカワ稚魚の給餌飼育試験を行いました。
ホタテガイ外套膜の成分特性
ホタテガイ外套膜の成分は季節変動が極めて少なく、水分(85~87パーセント)と粗タンパク質(10~12パーセント)が主要な成分となっています。詳細は平成12年度網走水試事業報告書をご覧ください。養魚用飼料に用いた外套膜は加工場から排出された外套膜を60度で乾燥後、ボールミールと呼ばれる粉砕機で 粉末にして使用しました。この外套膜粉末とサンマミールの成分値を表1に示しました。外套膜粉末はサンマミールに比べ、タンパク質量で約10パーセント高い値でしたが、脂質や灰分はおよそ半分の値でした。また、無機成分組成ではカルシウムとリンの値が極めて低いなどの特徴がみられました。
外套膜飼料の試作
マツカワ稚魚の飼育用飼料(表2)は市販ヒラメ飼料の成分値を参考に配合しました。すなわち、ヒラメ飼料のタンパク質量と同量をサンマミールのタンパク質で代替した飼料(対照)と、サンマミール50パーセント+外套膜粉末50パーセントで代替した外套膜飼料をそれぞれ調製し、飼育飼料としました。なお、飼料の造粒は釧路水産試験場のエクストルーダーで行いました。
外套膜飼料の成分はサンマミール飼料に比べ、粗タンパク質と脂質はほぼ同じ値でしたが、灰分が4パーセント程度低く、逆に糖質は3パーセント高い値でした。また、無機成分ではカルシウム(Ca)とリン(P)が3~5割程度低い値で、ナトリウム(Na)は2倍近く高い値でした。
遊離アミノ酸の総量に大きな差はみられませんでしたが、外套膜飼料はタウリン(Tau)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)の3種類で、サンマミール飼料はタウリンとヒスチジンの2種類で、それぞれ全体の約8割を占めていました。
外套膜飼料の成分はサンマミール飼料に比べ、粗タンパク質と脂質はほぼ同じ値でしたが、灰分が4パーセント程度低く、逆に糖質は3パーセント高い値でした。また、無機成分ではカルシウム(Ca)とリン(P)が3~5割程度低い値で、ナトリウム(Na)は2倍近く高い値でした。
遊離アミノ酸の総量に大きな差はみられませんでしたが、外套膜飼料はタウリン(Tau)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)の3種類で、サンマミール飼料はタウリンとヒスチジンの2種類で、それぞれ全体の約8割を占めていました。
マツカワ稚魚の飼育試験

今回の試験結果より、ホタテガイ外套膜の新たな利用途として、養魚用飼料で使用されている魚粉(ミール)の代替原料として利用できる可能性が示唆されました。今後、未利用水産資源を用いた環境リサイクル技術として、さらに発展することが期待されます。
(パーセント) | 飼育開始 | 外套膜餌料 | サンマミール餌料 |
水分 | 76.5 | 74.7±0.8 | 75.2±1.5 |
粗タンパク質 | 15.9 | 16.6±0.5 | 16.7±0.6 |
脂質 | 4.5 | 5.6±1.4 | 5.3±1.0 |
灰分 | 2.8 | 2.9±0.1 | 3.0±0.1 |
無機成分(ミリグラム/100グラム) | |||
K | 363.4 | 358.4±19.1 | 343.4±16.6 |
Na | 162.1 | 163.3±14.0 | 163.3±14.2 |
Mg | 40.1 | 68.3±11.4 | 38.2±2.6 |
Ca | 594.8 | 603.9±74.0 | 667.9±71.0 |
P | 514.5 | 530±29.6 | 535.8±33.9 |
(網走水産試験場 紋別支場 蛯谷幸司)