水産研究本部

試験研究は今 No.607「塩水ウニ製造マニュアル」の紹介」(2008年2月22日)

はじめに

  北海道後志管内ではウニの漁期は、身入がよくなる6~8月です。観光シーズン真っ盛りで「うに丼」目当ての観光客も沢山訪れます。しかし、夏は食中毒の起こりやすい季節でもあり、漁業者、生産者の方にとっては特に注意が必要な時期とも言えます。

  近年北海道では「折りウニ」よりも「塩水ウニ」の人気が高く、塩水ウニの生産が増加しています。また、平成13年の食品衛生法の改正により「折りウニ」や「塩水ウニ」についても消費期限の設定が必要となるなど、ウニの製造現場の状況も変化してきました。そこで、これまでの試験により得られた結果から「塩水ウニの製造マニュアル」を作製しました。ここではその一部を紹介いたします。
    • 塩水ウニ製造工程中の細菌危害フロー

塩水ウニ製造工程中の注意点

  1.  夏の暑い時期には海水やウニから腸炎ビブリオが検出されることがあります。このため、漁獲後は直射日光が当たらないようにし、ウニの消化管にいる細菌が増殖しないようにしましょう!
  2. 殻を割った後は直ちにウニの身を取り出し、清浄な食塩水に漬けて冷却しましょう。
  3. ウニは消化管の除去や冷却塩水での洗浄を繰り返すことによって、細菌数が少なくなります。
  4. 塩水ウニの洗浄、容器詰めに用いる塩水は4度以下に冷却し、水温が上がる前に、塩水が汚れたらすぐに交換しましょう!
  5. ウニの消化管内に多くいる海洋性の低温細菌は、5度でも増殖が早く塩水ウニの腐敗の原因となります。
  6. ウニは漁獲から流通まで品温が低く保持されるほど腐敗が遅くなります。さらに4度以下では腸炎ビブリオが増殖できないので、食中毒防止のためにも大変重要です。
    • 塩水ウニ 製造マニュアル表紙

おわりに

  今回、作製した「塩水ウニ製造マニュアル」は、近々各漁業協同組合を通じて配布したいと考えております。

  これまで多くの試験や写真撮影に協力して頂いた漁業協同組合、漁業者の皆さんにこの場を借りて心から感謝申し上げます。

(中央水産試験場 加工利用部 三上加奈子)

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