水産研究本部

試験研究は今 No.608「超特大サンマ記録更新」(2008年3月04日)

超特大サンマ記録更新

  2007年9月26日に(社)漁業情報サービスセンター道東出張所の小林所長を経由して、根室市の水産加工場、平庄商店根室工場の是澤益之取締役支配人から超特大サンマが届けられました。このサンマは8月の下旬に落石沖の道東太平洋、水温16度の海域でさんま棒受け網により漁獲されたものでした。サンマは水揚げされる時に尾びれの先端が傷ついていることもあるので、体長を測るときに全長ではなく肉体長(下あごの先端から尾びれの肉質部の末端まで)を測りますが、このサンマは肉体長41.8センチメートル、体重302グラムでした。市場では一般的に肉体長で概ね30センチメートル以上にあたる体重160グラム以上のサンマを大型サンマとして扱っています。しかし、漁獲されるサンマは肉体長30センチメートル前後のものが多く、特大魚と呼ばれる32センチメートル以上のものはあまり多くありません。今回のサンマは大型魚に比べて肉体長で10センチメートル以上大きく、体重でも倍近くあり、「超特大サンマ」といえます。

  日本近海の超特大サンマの漁獲記録としては、1948年以前の流し網漁業時代の報告がありますが、正確な体長の記録がありません。超特大サンマの大きさの記録としては、1985年9月に今回と同じ道東太平洋で、肉体長38.2センチメートル、体重242グラムのサンマが漁獲されています(今井1988)。更に、その16年後の2001年、同じく道東太平洋で肉体長40.7センチメートル、体重308グラムのサンマが漁獲されています(渡野邉2001)。今回のサンマは、このサンマよりも肉体長で1.1センチメートル大きいものでした。
超特大サンマは年齢を重ねて大きくなったのではなく、大型サンマとほぼ同じ年齢と考えられていますが、正確なことは分かっていません。サンマの年齢や成長は、頭部にある耳石の日周輪(1日1本形成される輪紋)の本数や間隔を調べることで分かるのですが、超特大サンマの場合日周輪が不明瞭で解析が困難なようです。

  年齢は不明でも、今回のサンマは記録が残っている中では最大のものと考えられ、6年ぶりに記録が更新されることになりました。 

(釧路水産試験場 資源管理部 夏目雅史)

    • 超特大サンマ

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