水産研究本部

試験研究は今 No.626「マナマコ研究最前線ーマイクロキューブを使って海底地形図作成してみました!」(2008年9月29日) 

マナマコ研究最前線—マイクロキューブを使って海底地形図作成してみました!

  平成19年度から農林水産技術会議の委託事業「乾燥ナマコ輸出のための計画的生産技術の開発」の全国的事業展開が始まっています。網走水産試験場調査研究部では、ムーフィックス技術(株式会社エマキ)を利用した画像解析とマイクロキューブ(μCUBE)技術(はこだて未来大学、東京農業大学)による海底地形図を融合したマナマコ資源量推定技術開発を担当しています。平成19年度はオホーツク海に面した雄武町沖マナマコ漁場でのムーフィックス画像の作成に成功し、マナマコ生息密度、画像からの計測、計数に関して貴重なデータを得ることができました。平成20年度の調査も始まり、マイクロキューブを利用した海底地形図作成調査を実施しましたので、その結果を紹介します。
    • 図1 マイクロキューブ
    • 図2 マイクロキューブ設置作業
  マイクロキューブ(図1)は通常漁船に装備されている魚群探知機の水深測定情報とGPSによる位置情報を同時記録する機材で、そのデータを利用して詳細な海底地形図を作成することができます。これは漁業現場での応用範囲の広い期待の最新技術です。

  平成20年9月8日、はこだて未来大学の和田先生による協力船(第32盛運丸)へのマイクロキューブ設置作業(図2)が行われ、翌9月9日、雄武町沖マナマコ漁場での測量調査を実施しました。

  調査海域は約500メートル四方で、東西10メートル間隔を目安に、3~4ノットで航行し、6時間測量しました(図3左)。今回、水深・GPSデータは1.6秒間隔でマイクロキューブに記録されており、2~3メートル間隔で測深・測位が行われたことになります。

  図3右は、東京農業大学の畑中先生に、潮位計算による水深データ補正をしていただき、はこだて未来大学の和田先生に作図していただいた出来たての海底地形図(9月10日作成)です。このようにマイクロキューブ測量は、短時間、低コストで詳細な海底地形図を作製でき、水産業現場に見合った有益な技術であることを示しています。今後、この調査結果は海底地形とマナマコ分布の関係把握に利用される予定です。(網走水産試験場 調査研究部 桒原 康裕)
図3  測量調査の航跡(左)および海底地形図(右)
(水深は右端のバースケールの色で区別)

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