平成26年6月17日
北海道立総合研究機構 水産研究本部
5月下旬~6月上旬の海況
海域別情報
日本海海域
積丹半島のはるか西方沖に暖水渦(指標:50m層水温8℃以上)があります。またこの暖水渦の北方では,沖合冷水(指標:100m層水温4℃以下)が雄冬岬方向へ張り出しています。対馬暖流(指標:100m層水温6℃以上)は,前回ではせたな沖(北緯43°30′)までしか達していませんでしたが,今回は,檜山沖ではやや沖側,積丹半島以北では沿岸側の流路をとり順調に北上しています。
対馬暖流の流量はほぼ平年並みに回復しています。
水温は,対馬暖流流量の回復により,松前西方沖,檜山西方沖と暖水渦の分布する海域で例年よりも2~3℃高くなりましたが,沖合冷水が張り出す石狩湾以北においては,まだ例年よりも2~3℃低い海域がみられます(水温偏差表参照)。
余市における旬平均水温は,5月中旬から下旬は「平年並み」でしたが,6月上旬では「やや高い」になっています。
道東太平洋海域
親潮(指標:100m層水温5℃以下)が道東海域のほぼ全域を覆っています。また,道東沿岸では沿岸親潮(*1,指標:水温2℃以下)が流れています。なお,今回の観測では黒潮系北上暖水(指標:50m層水温7℃以上)はみられませんでした。
水温は100m層以浅の広い範囲で例年よりも1~4℃低くなっています(水温偏差表参照)。
道南太平洋海域
4月に引き続き親潮(指標:100m層水温5℃以下)が道南太平洋を広く覆っています。また,沿岸親潮(*1,指標:水温2℃以下)の先端はえりも岬の西側にありますが,沿岸親潮由来の孤立した水塊が恵山岬沖の深度50m付近にみられます。津軽暖流(指標:100m層水温6℃以上,塩分33.6以上)は,水温分布からは沿岸モード(*2)から渦モード(*2)への移行期にみえますが,塩分から判断するとまだ沿岸モードのままです。
水温は,道東海域と同様に,広く例年よりも低くなっています。特に,沿岸親潮由来の水塊が分布する恵山沖の深度50mでは,水温は100m以浅の広い範囲で例年よりも4~6℃低くなっています(水温偏差表参照)。
オホーツク海海域
宗谷暖流が(指標:50m層水温5℃以上)オホーツク沿岸を順調に流れています。
水温は,例年並かやや低い海域が多いですが,網走沖では宗谷暖流が深くまで厚みを増していて,例年よりも2~4℃高くなっています(水温偏差表参照)。
資料
資料 | 観測期間 | 観測海域 |
---|---|---|
稚内水試(北洋丸) | 2014年5月27日~5月30日 | 道西道北日本海海域 |
稚内水試(北洋丸) | 2014年6月2日~6月4日 | オホーツク海海域 |
釧路水試(北辰丸) | 2014年5月19日~5月24日 | 道東道南太平洋海域 |
函館水試(金星丸) | 2014年5月21日~5月23日 | 道西道南日本海海域 |
函館水試(金星丸) | 2014年6月3日 | 道南太平洋海域 |
*2:津軽暖流が津軽海峡から襟裳岬まで大きく張り出してから南下している状態を「渦モード」と呼びます。これに対して,津軽暖流が青森県尻屋埼からすぐ岸沿いに三陸方面へ南下している状態を,津軽暖流の「沿岸モード」と呼んでいます。
水温平面分布図
表面水温
50m層水温
100m層水温
200m層水温
PDF版
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