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林産試験場

1-6 マルチ資材(土壌被覆材)


マルチ資材
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 マルチ資材とは雑草の防除,地温の安定,病害虫発生の抑制などを目的として植物周辺に敷設する資材のことです。一般的には,プラスチック製マルチ資材が多用されていますが,処分に問題があります。
わら,刈草,落葉など植物材料そのものでは,飛散しやすい,耐久性に乏しいなどの問題があります。そこで木材チップを用いたマルチ資材の検討を進めています。

 マルチ資材には,保温性が高い,防草効果が高い,通水性が良い,病害虫の発生を抑制する,飛散性が少ない,美観が良い,生分解性である,作業性が良いなどの性能が求められます。

 木材チップにも他の材料と同様に飛散,耐久性のほか,白っぽいなど美観に課題がありますが,林産試験場では,チップと木タールおよび木酢液を混合したマルチ資材を開発しました。混合した後,乾燥することで粘結性があり,飛散しにくい,耐久性,景観に優れた資材が得られます。

チップと木タール混合
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 また,木酢液,木タールを添加することで以下の成分と作用が付加されます。
○木酢液:酢酸など有機酸,グアイアコールなどフェノール類(消臭,植物生長活性,工芸性など)
○木タール:溶解タール,ピッチ(粘着性,防腐性など)

 天然物のマルチ資材では,難燃性,腐朽に伴う窒素飢餓や汚水発生に注意が必要ですが,下の写真のように,敷設後2年経過した今日でも,当該マルチ資材は木酢液の植物活性効果が見られる良好な結果を示しています。

特許 第3026206号 植物性繊維材料からなる土壌被覆材 があります。
木タールを混合したマルチ資材の敷設前(左)と敷設後(右)

関連する文献を以下に示します

木酢液および木タールの製品開発
斎藤 直人:林産試だより,5月号,(2000)

木酢液・木タールの土壌被覆材への利用
斎藤 直人:林産試だより,2月号,(2000)

特集 『緑化資材』 ガーデニングと木質材料
斎藤 直人:林産試だより,10月号,(2000)

抜根による緑化資材・マルチング材への活用
斎藤 直人:林産試だより,3月号,(2003)