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林業試験場

野鳥

 
野鳥

森林,草原,水辺や海域にいたるまで,さまざまな野鳥が活動しています。
活動する所は,それぞれの野鳥が好む食べ物と住みかがある所です。
ここでは,森林性の鳥を紹介します。

 

木ノ実を主に食べる鳥や,ガやその幼虫などを好む鳥がいます。
タカやフクロウはネズミなどの小動物を食べます。
野鳥のクチバシは各々の食べ物に適した形になっています。
木の幹の穴を住みかに使う鳥は,木が少ない草原では住みにくいし,
草原に住む鳥は森林では生活がしにくいので,野鳥の種類は環境で
大体きまっています。


森林は,鳥に果実やタネを与えたり,住みかに使ってもらうことで,タネを遠くに運んでもらえたり,害虫を取り除いてもらっています。


野鳥の種類
北海道で普通に見られる60種のうち48種の写真を示します。

留鳥
アカゲラエゾライチョウカケスキバシリ
コアカゲラ(雌)コアカゲラ(雄)コゲラゴジュウカラ
シジュウカラハイタカハシブトガラハシボソガラス
ヒガラヒヨドリヤマガラヤマゲラ
夏だけ
アオジアカハラオオルリカワラヒワ
キジバトキビタキクロツグミコサメビタキ
コムクドリシメニュウナイスズメ(雌)ニュウナイスズメ(雄)
ヒヨドリムクドリヤブサメ(林内の藪) 
木の少ない林若い造林地(夏だけ)
アオジカワラヒワシメベニマシコ
ホオジロ   
草地(夏だけ)
オオジュリン(雌)オオジュリン(雄)カワラヒワコヨシキリ
シマアオジヒバリベニマシコホオアカ
ノゴマノビタキ(雌)ノビタキ(雄) 
冬鳥(冬だけ)
アトリキレンジャクツグミベニヒワ
マヒワ   
旅鳥(春と秋に立ち寄る)
メボソムシクイムギマキ  

<注>ヒヨドリ,ムクドリ,マヒワなどは、北海道で越冬する個体がいます。
(*印の写真は村野紀雄氏の提供による) 

 


 

森と野鳥の関係
 

野鳥の食事
孵化から巣立ちまでの間に小鳥類の幼鳥は乾燥重量で10~15グラム(蛾の幼虫1匹18mgとして550~830匹),アカハラやクロツグミの幼鳥は40~60グラム(同2,200~3,300匹)食べるとの推定例(由井)があります。
また,同氏によると野鳥1羽の1年間に食べる量(乾燥重量)は,シジュウカラでは幼虫換算で1.5kg(8.5万匹),カッコウでは毛虫4.3kg(9万匹)と推定しています。
森づくりの目標
野鳥や森林の生き物の活動を利用して樹木の病気や害虫の大発生を防ぎ,森林を健全に保つことは自然にかなった方法です。そのためには,針葉樹と広葉樹林が部分的に織り混ぜられた多様な樹種がある森林が望ましいとされています。
また,繁殖地だけでなく,越冬地や渡りの中継地の森林の保全も大切です。そのためには,全国的な,また世界的な取り組みが必要なのです。

 


人と野鳥の共通問題
産業廃棄物,化学合成物質,流出原油さらに狩猟用の鉛弾による間接的中毒死など毒物による野生生物の死亡が増えています。最近はまた,環境ホルモンと呼ばれる生殖機能に悪影響のある物質が心配されています。
これらの物質の生き物への影響は,野生生物に先に現れやすいことから,人間に影響が出る前段階にあることの警鐘であると云われています。