渡島半島の湖沼

北海道南部の渡島総合振興局に含まれるこのエリアは、渡島半島の東側に位置し、東は内浦湾(噴火湾)、南は津軽海峡に面している。湖沼は、駒ヶ岳火山噴出物が折戸川を堰き止めてできた大沼、小沼やジュンサイ沼があり、風光明媚な「大沼国定公園」となっている。これらのうち、最近の水質データがある大沼は富栄養レベルであり、Chl-a濃度も比較的高い特徴が見られる。

エリアの湖沼の水質

エリアの地形・気象など

渡島半島は、黒松内低地帯より南に「く」の字型に突き出た半島の総称で、南北約160 km、東西100 kmにわたる[1]。その中には、狩場山地、渡島山地、亀田山地といった山地があり、最高峰は狩場山の1520 mである。亀田山地の北側にある駒ヶ岳は活火山で、1640年の噴火で折戸川が堰き止められ、大沼湖沼群(大沼、小沼、ジュンサイ沼)が形成されたと考えられている[2]。なお、本Webサイトでは、大沼と小沼を合わせた呼び名として「渡島大沼」を用いている。湖岸には、噴火による岩塊や溶岩によってできた多くの小島が点在しており、北海道では珍しい日本庭園的景観を見せている[3]。渡島半島には、大沼湖沼群のほかに、森町の濁川上流にある大沼・小沼や、上ノ国町の七ッ岳にある七ッ岳沼、木無山にある桂沼[4]、函館市にある沼の岱[5]など、山地を中心に小湖沼が点在している。

渡島半島の気候は、対馬暖流の影響を受けているため寒暖の差は比較的少なく、北海道内で最も温暖な気候である[6]。年平均気温(平年値)は、大沼北方の森で8.2℃、大沼南方の北斗で8.6℃である[7]。大沼では、北海道の他地域には見られない、ブナなどの温帯性の植物が広く分布する[3]。高温・多湿な空気が流入しやすいため、北海道内でも大雨の降りやすい地域である[6]。年降水量と最大積雪深は、大沼でそれぞれ1099.0 mm、51 cmとなっている[7]。大沼のある七飯町の農業は、水稲、畑作、果樹、酪農、畜産と全般に渡っており、近年は花き栽培が盛んである[8]

エリアマップ
エリアの気象

湖沼の紹介

水質データ更新・UAV撮影画像
UAV撮影画像

[1] 小疇尚・野上道男・小野有五・平川一臣[編集], 2003, 日本の地形2 北海道, 東京大学出版会, 東京, 384p.

[2] 鴈澤好博・岡島洋平・佐々木一郎・蒲生元樹・黒柳萌々子・人見美哉, 2019. 北海道駒ヶ岳,1640年大沼湖沼群の誕生と変遷. 地形, 40: 27-44. https://doi.org/10.60380/tjgu.40.1_27

[3] 財団法人自然公園財団, 2009, 大沼国定公園パークガイド大沼, 東京, 48p.

[4] 大木隆志, 2000, 北海道 湖沼と湿原 水辺の散歩道, 北海道新聞社, 札幌, 214p.

[5] 環境庁, 1993, 第4回自然環境保全基礎調査 湖沼調査報告書 北海道版(北海道), 636p.

[6] 函館地方気象台, 渡島・檜山地方の気候特性. URL: https://www.data.jma.go.jp/hakodate-c/knowledge/local-climate.html(2025年3月28日時点)

[7] 気象庁, 過去の気象データ. URL: https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php(2025年3月28日時点)

[8] 七飯町, 七飯町の農業. URL: https://www.town.nanae.hokkaido.jp/hotnews/detail/00000663.html(2025年3月28日時点)