道総研をフカボリ!建築研究本部

掲載データは令和3年4月1日時点のデータでの所属・研究内容であり、
現時点では変更となっている場合があります。

こんなシゴト、こんな研究。

建築を取り巻く「環境」の研究によって、
北国の暮らしを守り、住まいの快適さをつくること。

北方建築総合研究所は、積雪・寒冷地域における建築・住まい・地域づくりを研究領域の中心に、「環境負荷を低減し、良質・安全な暮らしを支え、地域と産業を支える建築・まちづくりの研究」に努めています。

中でも「防災」や「省エネ」をテーマに、気象データの観点から研究に取り組んでいます。例えば、「防災スピーカーを利用した避難情報伝達に係る研究」。津波の危険から身を守る手立ての一つとして、防災スピーカーの音を猛吹雪などの過酷な気条件であっても確実に届けるにはどうすべきか後志管内の神恵内村と連携協力して研究を進めています。

多彩な気象条件の中、4年ほどかけて神恵内村に設置された既存の防災スピーカーの音と気象データを測定・分析したところ、音声が聞こえづらい場所・日があることが分かりました。その特定の気象条件を突き止めた上で改善方法を提案したところ、新たな防災スピーカーを設置することになりました。人の命を守るという重大な責任が伴う仕事。その分だけやりがいも手応えも大きいと感じています。

ココでフカボリ!省エネと気象データの関係って?

建物をつくる際、気候条件によって最適な断熱材やエアコンの性能を選択する必要があります。ただ、現状で活用可能な気象データの区切りは約20km四方。例えば、旭川市内でもマチナカと郊外では最低気温が大きく異なることも少なくありません。そのため、より適切な設計をするために、1km四方以下の細かな気象データを活用できるよう研究を進めているところです。

私の「例えばの」一日

1日1回は2時間程度の
会議があります。

研究の依頼元は行政や企業。
最近はウェブ会議を活用し、
濃密な議論を交わしています。

9:15
フレックスタイムで遅めの出勤
9:45
会議資料作成
12:00
ランチタイム
13:00
ウェブ会議
15:00
近隣の当麻町に気象データの測定
17:00
気象データ計算プログラムづくり
18:00
退勤

ココでフカボリ!フィールドワークも多い?

内勤とフィールドワークは半々くらいの割合です。北方建築総合研究所は旭川にありますが、地域によらず全道が測定フィールドです。防災スピーカーの研究では神恵内村に何度も足を運びましたね。

なんでもQ&A

その質問、センパイが教えます。

研究者を目指した
きっかけは何?
小さなころから建築の分野に興味があったんです。最初は設計の分野に進むつもりで大学に入学しましたが、学部生時代に僕のデザインがことごとくダメ出しされまして(笑)。そんな時、照明の色で温かみや涼しさを表現したり、太陽や風をデザインに取り入れることができる建築環境工学という分野の研究に取り組む恩師と出会いました。その研究室で建築環境工学についてイチから学びを深めていくにつれ、成果が社会に広く役立っていくという研究の波及効果の高さにやりがいを感じるようになったんです。
道総研に就職を
決めた理由は?
当時から今に至るまで大切にしているのが人の役に立つ研究をしたいということ。この思いを実現させるには公設研究機関がベストです。ちなみに道総研の建築研究本部は日本で建築を研究できる公設研究機関の二つのうちの一つ。さらに、「道民に研究成果を還元すること」に重きを置いているため、成果の反映先が実に明確です。このことから就職するなら道総研しかないと考えました。
道総研の研究者に
必要な心構えは?
好きなことだけに黙々と打ち込むという研究の仕方よりも、困っている声に対してアクションを起こせる人のほうがイキイキと働けると思います。というのも、自分自身、大学院で専門としていた研究ではなく、現在は防災や省エネを主に担当しています。けれど、研究者として誰かの役に立ちたいという考えは変わっていませんし、むしろ新しい分野にチャレンジできるというワクワクした気持ちが湧き上がりました。建築の分野で悩みや不安を抱えている道民の声に寄り添い、さまざまなことに興味を持って研究するという心構えは必要だと思います。
道総研の働き方や
職場の雰囲気って?
公設研究機関だけあり、有給休暇はキチンと消化しなければなりませんし、自分の研究が順調であれば連休を取得するのも非常にスムーズです。お子さんを迎えに行かなければならない方は定時でピタッと帰る一方、少し残業してでも切りの良いところまで仕事を進めておきたいという働き方も可能ですから柔軟な環境だと思います。また、研究はチームで取り組むことも多いですし、お昼ご飯はみんなでワイワイと食べるなど、和気あいあいとした雰囲気。ただ、ひとたび集中すると、自らの脳内で格闘するタイプも多いでしょうか(笑)。

道総研のココがいい!

公的な研究機関だからこそ
他分野とつながる機会もあり、
行政と連携した
研究もしやすいんです。

道総研は建築に加え全道各地で農業や水産業、林業といった幅広い産業分野の研究に取り組む公的な機関です。しかも、縦割りの体質でなく、他分野の専門家と横のつながりを駆使する機会も多いのが魅力。例えば、建築究本部の持つ知見を活用して農業用ハウスの熱計算や積雪リスクの検討を行うこともありました。また北海道や各自治体と密接な関係にあることから、神恵内村で防災スピーカーの音を測定するといったような連携が取りやすいのもスムーズな研究の進行につながります。