道総研をフカボリ!船員(海事職員)

掲載データは令和3年4月1日時点のデータでの所属・研究内容であり、
現時点では変更となっている場合があります。

こんなシゴト、こんな調査です。

水産試験場の研究サンプルとなる魚の採集や
温暖化の究明にもつながる海洋観測を行っています。

僕らが乗船している試験調査船は二つの役割を担っています。一つはサンマやイワシ、イカ、スケトウダラといった主要魚類の調査です。北海道の周辺海域で流し網や底びき網などさまざまな漁法で水産資源を漁獲。獲れた魚介を研究サンプルとして水産試験場に持ち帰る他、僕ら自身でも生態や魚群分布などを分析しています。

二つ目は、海や漁場の環境調査。CDT測定装置や潮流観測装置、超音波流速計を用いて水温や塩分濃度、水質、水流、 プランクトンなどのデータをとっています。この調査は、例えばサンマが沿岸に寄りつきにくくなる原因を究明するヒントになったり、 地球温暖化の研究に役立つことなどが期待されています。すぐに結果につながるわけではありませんが、北海道の水産業や地球環境に貢献できる「やりがい大」の仕事です。待遇や福利厚生も魅力です!

  • 北辰丸の画像1
  • 北辰丸の画像2
  • 北辰丸の画像3

ココでフカボリ!甲板部と機関部の役割の違いは?

【甲板部】
甲板部は風や波の強さを観測したり レーダーで周囲の状況を確認して操舵を行ったり 安全な航行をサポートしています。
【機関部】
エンジンなどの機器を保守・整備して、大きな船の心臓部を動かす張り合いのある仕事です。
【調査】
魚類や水環境の調査は、甲板部と機関部とで共通する仕事です。

道総研の試験調査船

北海道の周りの海では3隻の試験調査船が
水産資源調査や海洋観測を行っています!

北辰丸

調査海域
道東太平洋を中心に道南からオホーツク海
北辰丸
竣工
平成26年11月
総トン数
255トン
主機関
2,000馬力
漁撈設備
オッタートロール、流し網、イカ釣機、表中層トロール網、漁網監視装置、ソリネット 等
観測装置
CTD(水深別に水温・塩分をはかる)、マルチビームソナー、計量魚群探知機 、スキャニングソナー 等
定員
25名
所属
釧路水産試験場

北洋丸

調査海域
日本海や宗谷海峡、オホーツク海
北洋丸
竣工
令和4年1月
総トン数
266トン
主機関
2,000馬力
漁撈設備
オッタートロール、表中層トロール網、えび籠、ソリネット 等
観測装置
CTD、マルチビームソナー、計量魚群探知機、スキャニングソナー、ナンセン採水器 等
定員
25名
所属
稚内水産試験場

金星丸

調査海域
日本海南部、日高沖合
金星丸
竣工
平成13年3月
総トン数
151トン
主機関
1,300馬力
漁撈設備
オッタートロール 全自動イカ釣機、ソリネット等
観測装置
CTD、計量魚群探知機、多層音波潮流計 等
定員
19名
所属
函館水産試験場

ココでフカボリ!船の中ではどう過ごしているの?

航海中の勤務時間は、8時から12時、12時から16時、16時から20時…と4時間で一区切り。4時間仕事に取り組んでから8時間休み、また4時間仕事に向き合うというサイクルです。休憩中は食堂でご飯を食べたり、風呂に入ったり、各々自由に過ごしています。

部門長から一言

船長・機関長から一言

【船長】

はじめて配属になったばかりの時は、仕事の全容もつかめず、何をすべきか迷うことだらけだと思います。ただ、若い方々は学校などで学び触れてきた最新の装置や機器の扱いに精通しており、また、ほかの船で勤務された方々は、培ってきた経験や知識があります。私たち甲板部の仕事は試験調査船の安全な航行を支えることです。海上では時化だけでなく、商船や漁船が近づいてくるなど、さまざまな危険が潜んでいます。
トラブル回避を即座に判断するには、実践を重ねるしかないと考えます。私たちと一緒に試験調査船の安全航行を支え、北海道の水産業を支えるため働いてみませんか。

【機関長】

機関部のスタッフはエンジンをバラして手入れしたり、パイプの補修にあたったりと、どちらかといえば技術職です。機械の保守や修理の手法は一朝一タでは身につきません。けれど、先輩の船員に聞いたり、先輩の作業を見ることで成長できると思います。この仕事はシステムの管理方法など覚えなければならないこともありますが、何より大切なのは五感を研ぎすませること。機械に触れて、オイルの匂いをかいで、エンジン音を聞いて異常にいち早く気づく力が必要と考えています。私たちと一緒に試験調査船を通じて、北海道の漁業と水産業のため働いてみませんか。

先輩からのメッセージ

試験調査船の先輩からのメッセージ

  • 僕が船乗りになりたいと思ったのは兄の存在があったから。水産庁の漁業取締船で活躍している姿を見て高校時代から「カッコイイ」と憧れを持つようになりました。さらに僕は漁師町の厚岸出身。漁業を営んでいる親戚や同級生も多くその役に立つ仕事がないかと熟考した結果試験調査船に乗るという選択肢にたどり着いたんです。試験調査船の業務は魚群分布や生息環境の研究にも役立ちますから漁師の皆さんにとって有益な情報の発信源になれると信じています。
  • 僕は高校卒業後、岩手県の海上技術短大に進みました。在学時には航海と機関の4級海技士の両資格を取得。ただ、僕はもともと機械いじりが好きなタイプでしたし、短大時代に実習で練習船に乗っていたころから機関士の「答えが出る」仕事に楽しさを感じたんです。例えばエンジンの始動にしても、機械類の修理にしても 仕組みや原因さえ分かれば必ず結果に結びつくという明確さが心地良くて。試験調査船を選んだのは機関部の作業だけでなく、漁獲や海洋調査といった幅広い業務に携われるのも魅力だったからです。
  • 僕の場合は4月からすぐに船に乗り始めました。といっても、いきなり実践というわけではないので安心してください。魚種調査の漁獲方法も、甲板部や機関部の仕事も まずは先輩がお手本を見せてくれたうえで徐々に自分たちのできることを広げていきます。上司は何を聞いてもイヤな顔一つしないので声をかけやすい雰囲気です。試験調査船の先輩方はフレンドリーなのでホッとしています。
  • 沖での仕事は次の調査に必要な道具を準備したり、漁労機械を整備したり、船体や機関の保守点検作業がメインです。ただ、航海から戻り釧路の港に着岸した後は基本的には休日。僕は仲の良い仲間とお酒を飲みに出かけますね。海の上では何が起こるか分からないという緊張感を持って仕事に取り組んでいるので、開放的な気分になっちゃうみたいです。

道総研のココがいい!

試験調査船の航海は、
それほど長くはありません。
土日の代休やGW 夏休みなど、
しっかり休めます。

商船やタンカーは、数カ月単位の航海に出る代わりに休みも長期間というスタイルが多いようです。一方、僕らの航行は基本的に1~2週間程度の比較的短い航海です。航海が土日に重なった時には代休もしっかりとれますし、GW(ゴールデンウィーク)やお盆、年末年始の休暇も一般的な企業と同様です。生活リズムが大きく崩れることはなく予定も立てやすいのがメリットだと思います。あとは・・・魚種調査で珍しい魚が見られたり、イルカやシャチ、クジラを近くで見られたりするのも役得ですね(笑)。

道総研 船員(海事職員) 藤野さん、中川さんの画像