水産研究本部

ハタハタ人工種苗生産

ハタハタ

親の飼育方法、特徴

道立栽培漁業総合センター(現 道総研 栽培水産試験場)では、親魚は12月に鹿部地先の定置網で漁獲されたハタハタを使い、その日のうちに採卵を行います。

ハタハタの親魚です。

受精・ふ化の方法、特徴

栽培漁業総合センター(現栽培水試)では搾出法で採卵しています。雌の腹部から搾り出した卵に雄の精子を直接振りかけて手で混ぜ合わせて受精させる方法です。

体長を測定します。

重量を計ります。

雌の腹を搾り、卵をボウルに取り出して重量を計ります。

一定数の卵塊を箇々のボウルに取り出しておきます。

雄の腹を搾って精子を卵に振りかけます。

卵を手で良く揉んで精子を卵になじませます。

エスロンパイプに格子状に張った紐の交点に受精卵を付着させます。

紐に付着させた受精卵の様子です。

受精卵を紐から外し、ふ化器に収容します。

海水をかけ流しにしてふ化させます。

浦河種苗センターの受精卵を収容したふ化器です。

同じくふ化器の様子です。

ふ化直前の卵の様子です。(目がハッキリ見えます。)

餌料の種類、特徴

餌料は、アルテミア、配合飼料を、仔稚魚の成長段階ごとに組み合わせて給餌します。
 

種苗の性質、飼育時間、期間

受精から約70日後にふ化が始まり、その時の全長は約1センチメートルです。さらに後約130日程、全長2~3センチメートル台まで飼育します。 

ふ化後1週間の仔魚の様子です。(顕微鏡写真)

ふ化後約100日経過したハタハタ稚魚。体長は約2センチメートルです。

アルテミアを給餌します。

中間育成

中間育成は陸上施設の大型水槽で行われ、2月のふ化後から6月の放流まで約4ヶ月アルテミア、配合飼料を給餌しています。

放流

中間育成を行っている各地の前浜に全長2~3センチメートル台で放流されます。放流は漁業者を始めとした関係者総出でバケツリレ-によって水深1メートル前後のところに静かに放されます。 

大型水槽で飼育していたハタハタ稚魚を回収します。

放流直前のハタハタ稚魚です。

バケツリレーで沖へ運ばれます。

ゆっくり、静かに放流されます。

放流されたハタハタ稚魚の様子です。

種苗放流実績

(平成15年)

生産地放流場所放流数
日高管内日高管内各地 約338万尾
石狩管内、留萌管内石狩管内、留萌管内各地 約24万尾

種苗生産について

 1 種苗生産のあらまし
北海道におけるハタハタ種苗生産は、平成3年に釧路機船漁業協同組合が初めて開始し、約3万尾の稚魚を放流しました。その後、えりも町や静内町(現新ひだか町)等の日高管内で本格的な種苗生産が始まり、さらに全道各地で天然受精卵(ブリコ)の保護・育成と同時に人工受精による種苗生産を行っているところもあります。現在では全道で約400万尾の稚魚放流が行われています。
試験研究機関では道立栽培漁業総合センター(現 道総研 栽培水産試験場)が平成6年から種苗生産技術開発に取り組んでおり、これまでに種苗生産工程、給餌条件、飼育密度等を明らかにして、種苗生産技術はほぼ確立されています。しかしながら、放流後の再捕が少なく、生残率の高い放流技術を開発することが課題となっています。

2 種苗生産方法・工程等
現在、栽培漁業総合センター(現 道総研 栽培水試)でのハタハタ種苗生産は次のとおり行われています。
11月から12月にかけて前浜の定置網で漁獲された親魚をその日のうちに人工受精を行います。まず、雌の腹部を手で圧迫して卵を搾り、1個体ずつ計量します。次に雄の腹部から精子を搾り、少しずつ卵に直接振りかけます。1個の卵に2、3尾の精子を使います。すぐに手で揉んで混ぜ合わせ受精させます。そしてエスロンパイプ枠に格子状に張った紐(PPロープ)の交点に受精卵を付着させ、海水に浸し固定させます。
翌日、紐を抜いて水通しを良くした受精卵をふ化器に収容して、海水をかけ流しにしてふ化させます。ふ化は2月頃から始まり、ふ化後はパンライト水槽で飼育します。餌は初期にはアルテミアを投与します。その後、成長に伴い配合飼料へと変わっていきます。各地では全長2~3センチメートル台で前浜に放流しますが、栽培漁業総合センターでは放流せず、試験用として飼育しています。
協力・取材・編集
協力:北海道立栽培水産試験場(現 道総研 栽培水産試験場)
えりも町
取材:日高地区水産技術普及指導所
編集:栽培水産試験場普及指導員(現 胆振地区水産技術普及指導所 普及指導員)