水産研究本部

試験研究は今 No.689「宗谷産モズク」ブランド化のための高品質化技術開発(2011年05月17日)

モズクについて

  モズクはコンブと同じ褐藻類の仲間です。平安時代初期にはすでに「毛豆久(もずく)」と記載された文献があり、日本人とモズクのつき合いは意外に古いことがわかります。
  モズクといえば沖縄で養殖されているオキナワモズクが有名ですが、北海道ではこれよりも藻体がやや太いイシモズクが採取されています。

宗谷産モズク

  宗谷漁業協同組合は、年間約8トンのイシモズクを水揚げしています。宗谷産のモズクは漁期がほぼ1か月と短く、水揚げ後は直ちに塩蔵で出荷されています。しかし、現状では素材供給にとどまっており、その認知度は決して高くありません。このため、宗谷漁業協同組合は宗谷産モズクのブランド化を推進しようとしています。 

網走水試の試験内容

  網走水産試験場は今年度、職員研究奨励事業(提案部門技術支援型)の中で、宗谷漁業協同組合の取り組みを支援することになりました。主な試験内容は以下の通りです。

(1) モズクは鮮度低下が速いため、適切な保管条件を把握する。
(2) 冷凍、乾燥、ボイル塩蔵などの加工条件と品質の関係を調べ、最適な加工方法を把握する。
(3) モズクはフコイダンやアルギン酸など健康機能性が注目されている物質を含んでおり、こうした成分の加工工程中における変化を調べる。

  これらの試験を通して、ブランド化に必要な情報を提供していく予定です。近い将来、モズクが北海道の新しいブランド品として脚光を浴びる日が来るかもしれません。

(網走水産試験場加工利用部 成田正直)
    • 宗谷産イシモズク

      (左:生鮮品、右:ボイル品)

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