水産研究本部

試験研究は今 No.304「活魚出荷状況調査結果について」(1997年5月23日)

活魚出荷状況調査結果について

  漁獲物の付加価値向上のため、活魚出荷が行われています。、活魚出荷の全道的動向を把握するために、昭和60年から本調査を実施しています。内容は、1月から12月までに出荷された活魚(貝類はホタテガイのみ)について、全道各地の水産技術普及指導所が各漁業協同組合の協力を得て調査したものを水産業専門技術員が取りまとめたものです。

1.平成8年の活魚出荷状況

  全道の活魚出荷数量は2,987トンであり、前年に比べ278トン増加しました。そのうちタコ類が1,207トンと全体の41パーセントを占め最も多く、次にカレイ、アイナメ等の魚類が701トン(24パーセント)、エビ・カニ等の甲殻類が663トン(22パーセント)となっていました。魚類のなかでは、ヒラメが277トン、カレイ類が285トンで、それぞれ全体のの40パーセントを占めており、次にアイナメが75トン(11パーセント)、ソイ類が44トン(6パーセント)と続いていました。(図1)

  総出荷金額は25.9億円です。そのうちエビ・カニ類が14.3億円(55パーセント)、魚類が9.9億円(38パーセント)であり、両方で93パーセントを占めていました。魚類のうちヒラメが6.5億円で65パーセントを占め、カレイ類が2.2億円(23パーセント)、アイナメが6千万円(6パーセント)、ソイ類が4千万円(4パーセント)となっていました(図2)。

  主な魚種の全道平均キログラム当り単価は、ヒラメ2,334円(前年比83パーセント)、クロガシラカレイ482円(同69パーセント)、マコガレイ1,125円(同105パーセント)、アイナメ823円(同99パーセント)、マゾイ1,291円(同87パーセント)、
クロソイ1,046円(同112パーセント)、ミズダコ473円(同96パーセント)、ケガニ2,604円(同147パーセント)、トヤマエビ2,605円(同85パーセント)であり、ケガニ以外は横這いまたは下降傾向になっていました。
    • 図1
    • 図2

2.過去8か年の活魚出荷状況の推移

  主要魚種のうち、タコ類の活魚出荷量は大幅に増加しましたが、それ以外では横這いまたは下降傾向を示していました。

  ヒラメは平成3~4年をピークに減少しきましたが、8年には277t(前年比139パーセント)と増加に転じました(図3)。主要魚種のキログラム当り平均単価は、平成元年に比較して、増加している魚種はアイナメ、クロソイくらいで、ほとんどが値下がりしました。特にケガニは平成3年には約5,000円でしたが、平成8年には2,600円とほぼ半値になりました。ヒラメも平成元年の3,600円から徐々に値下がりし、平成8年には2,300円と1,300円も安くなりました(図4)。

  バブルの崩壊、輸入水産物の増加などの影響で、活魚の価格低下の傾向は続きそうです。
    • 図3
    • 図4

(函館水試室蘭支場 水産業専門技術員 高橋正士)