石持湾系ニシンの年齢と成長の関係について
はじめに
平成8年に日本海沿岸性ニシン資源増大プロジエクト』が石狩湾系ニシンの資源増大を最大の目標にしてスタートしました。
種苗生産されたニシン稚魚が平成8年7月に約10万尾、平成9年も40万尾以上が放流されて、産卵親魚となって帰って来る日を待ち望んでいるところです。
これまで、ニシンの年齢と成長の関係については、鱗の輪紋を数えることにより、決めていました。しかしながら、石狩湾系ニシンは輪紋が不鮮明で、すべての個体そ年齢査定が可能と言うわけではありません。そこで、鱗以外の年齢査定法について検討し、耳石を用いた方法で、ある程度結果が得られましたのでご紹介します。
種苗生産されたニシン稚魚が平成8年7月に約10万尾、平成9年も40万尾以上が放流されて、産卵親魚となって帰って来る日を待ち望んでいるところです。
これまで、ニシンの年齢と成長の関係については、鱗の輪紋を数えることにより、決めていました。しかしながら、石狩湾系ニシンは輪紋が不鮮明で、すべての個体そ年齢査定が可能と言うわけではありません。そこで、鱗以外の年齢査定法について検討し、耳石を用いた方法で、ある程度結果が得られましたのでご紹介します。
耳石について
耳石は、平衡感覚をつかさどる炭酸カルシウムを主成分とする石のようなもので、魚類の成長にともない大きくなります。一般に、水温の高い夏季に不透明帯(白く見える)、冬季には透明帯が形成されることが知られています。よって、不透明帯と透明帯の一組(年輪)がちょうど1年間で形成されることになり、この組み合わせが何組あるかで年輪を知ることができます。
耳石による年齢査定
石狩湾系ニシンの耳石を解析した結果、不透明帯、透明帯が尾叉長14センチメートル前後で1組、23センチメートル前後で2組観察されました(図1,2)。
耳石による年齢査定
石狩湾系ニシンの耳石を解析した結果、不透明帯、透明帯が尾叉長14センチメートル前後で1組、23センチメートル前後で2組観察されました(図1,2)。
もしも、一般的にいわれているように1年間に不透明帯、透明帯が一組形成されるとすれば、1997年に厚田から留萌海域にかけて100トン以上漁獲されたニシンの多くは、まもなく2歳となる魚だと判断されます。透明帯と不透明帯が1年間に1組形成されることは、平成8年にふ化し、中央水試で継続飼育しているニシンの耳石の解析結果からも確認されました。さらに、平成9年2月~6月にかけて厚田海域で連続的に採集したニシンの尾叉長の変化を見てみると、2月に14センチメートル前後であったものが、6月には19センチメートルにまで成長していました。この成長速度からみて、翌年2月に23センチメートル前後に達することは十分予測できます。また、天然ニシンでも尾叉長14センチメートルから23センチメートルに成長する1年間で、耳石に年輪が1本増加すると思われます。
以上のことから、石狩湾系ニシンは従来の知見よりも、かなり早く成長する魚であることがわかってきました。
以上のことから、石狩湾系ニシンは従来の知見よりも、かなり早く成長する魚であることがわかってきました。
また、今回の結果から、平成8年に放流したニシンは、平成10年2月~3月に尾叉長23センチメートル前後に成長し成熟して来遊することが予想されます。どれくらい生き残って来るのか期待されるところです。
(注)尾叉長は全長の約9割の長さになります。
(注)尾叉長は全長の約9割の長さになります。
(中央水試 資源管理部 石田良太郎)