水産研究本部

試験研究は今 No.353「サハリン漁業海洋学研究所の研究交流団、中央水産試験場を訪問」(1998年7月24日)

サハリン漁業海洋学研究所の研究交流団、中央水産試験場を訪問

1.研究交流の経過

写真1
  北海道立水産試験場では、平成2年からロシア共和国サハリン州のサハリン漁業海洋学研究所(通称サフニロ)との相互訪問形式による研究交流を1年に2回ずつ行ってきました。交流の始めは、平成元年11月に当時のソビエト社会主義共和国連邦太平洋漁業海洋学研究所サハリン支所(通称サハリンチンロ)の所長から稚内水産試験場長宛に届いた研究交流を申し入れる書簡がきっかけでした。

  現在この研究交流は、「北海道・ロシア水産交流推進事業」の一環として行われています。

  当初は、お互いの研究内容や研究職員同士を知り合うことから始め、この交流で合意した宗谷海峡周辺海域のスケトウダラ系群調査や海洋調査等を共同で行ってきました。この間のスケトウダラ共同調査の概要やロシアからの研修生の受け入れについては、本誌(NO.181,233,331号)でも紹介しました。

  さて、平成10年度のロシア側の訪問団3名(写真1)が、6月23~24日余市町の中央水産試験場に来場しました。今回の交流は通算16回目に当たります。

2.第16回研究交流の内容

写真2
今回の交流では、
  1. スケトウダラ系群解析に関する共同調査結果のとりまとめ
  2. 海洋共同調査計画
  3. ニシン調査研究情報の交換
  4. 研修生の受け入れ
等について協議を行い、今後、今まで蓄積されてきた共同調査結果をまとめ、報告会を開催する方向性を確認しました(写真2)。

3.研究交流こぼれ話

写真3
  研究交流の最中の6月24日稚内水試から猿払沿岸でロシアのものらしい流速計が発見され、稚内警察署に届けられているとの連絡がたまたまありました。カンタコフ氏に聞いたところ、サハリン南西端沖のモネロン島南にアンデラー社製の流速計を設置し、2週間程前に切り離しを試みたが行方不明になっでいたとのことでした。

  確認の決め手となったのは、流速計内部にあった、設置位置のメモ、付属物の切り離し装置と青いローブ等とのことでした。そして、流速計(写真3)は6月30日稚内港でサフニロの漁業調査船ドミトリー・ペスコフ号に無事手渡されました。この事件は今回の研究交流のひとつの成果と言って良いかもしれません。

  ご協力頂いた猿払村の関係者、海上保安庁、稚内警察署、税関稚内支所等の皆様にお礼申し上げます。

(中央水試企画情報室・海洋部、稚内水試資源管理部)