水産研究本部

試験研究は今 No.367「釧路水試で開催したミニプラザ紹介」(1998年12月4日)

釧路水試で開催したミニプラザ紹介

はじめに

  水産試験場の水産試験研究プラザ事業は、平成元年にはじまり今年で10年目を迎えました。

  現在各水産試験場では「ミニプラザ」ということで、或る漁協、或る部落、或る部会というように、プラザを開催する場所やテーマをしぼって、漁業者や加工業者の皆さんの一番関心のあるテーマについて、水試職員の話題提供や意見交換を実施しております。

  今回は、釧路水産試験場で今年開催したミニプラザのなかからその一例を紹介します。

1.コンブの生活史について

  釧路水試資源増殖部では、平成8年度から3ケ年事業で、歯舞漁協協同組合との共同研究「歯舞地域コンブ漁場の類型化」を実施しております。

  これはコンブや雑海藻の植生や諸特性を明らかにし、コンブ漁場の類型化を行うものです。

  この事業の関連で、根室市の友知地区(この地区では、若手有志による漁業勉強会を組織しています)から、コンブに係る勉強会の要望があったことから、今年5月にミニプラザを開催しました。

  資源増殖部阿部増殖科長から「歯舞地域コンブとその生活について」報告した後、意見交換を行いました。3時間半にも及んだ熱心な意見交換中から、その一部を次に紹介します。

(質問1)1年コンブと2年コンブを見分ける方法はありますか?
(答え1)コンブの付着器を壊さずに採取すると2年コンブの場合は2年目に派出した付着器(一般にアメ色)の内側に、1年目の付着器(黒茶色)が残っており、その有無で判別できます。

(質問2)毎年コンブの豊漁・凶漁に周期性はあるのですか?
(答え2)羅臼コンブは概ね1年単位で豊漁と凶漁を交互に繰り返すようです。ナガコンブやガッカラ(厚葉)コンブには特に明確な周期性はみられず、もっぱら毎年の天候などの環境条件に左右されて、豊凶が決定していると思われます。また、本地域では近年豊漁年の後、数年間は凶漁ぎみの状態が続く傾向があるようです。

2.厚岸産カキに関連して

  11月5日、厚岸漁業協同組合において、67名の参加を得てミニプラザを開催しました。今回は厚岸漁協の要望により、釧路保健所にも協力頂いて衛生管理の講演も聴くことができました。次にブラザの内容を紹介します。
  1. 釧路水産試験場資源増殖部角田栽培科長からは、「厚岸湖の平成9年の環境調査結界について」水温、塩分、PH、容存酸素などの季節変化の状況等について報告がありました。総じて平成9年は水質・底質ともに良好だったようです。
  2. 釧路水試利用部では、平成9年度に釧路東部地区水産技術普及指導所と共同で実施した水産試験研究ブラザ関連事業の「カキの栄養成分について」今回その結果報告を行いました。発表した利用部辻原料化学科長からは、カキに含まれるうま味のもとであるグリコ一ゲンや水分の月別含有量の変化や、肝臓機能の強化や高血圧の防止に効果のあるタウリン、そして欠乏すると味覚や皮膚障害を生じるといわれる亜鉛の存在等について報告がありました。
  3. 釧路保健所から生活衛生課の中川食品保健係長を講師に招き、「食中毒の予防について」講演いただきました。昨年のカキの食中毒問題やイクラ0ー157事件の発生など、衛生管理の重要性を再認識させられる良い機会になりました。

おわりに

  水産試験場では、今後もなるべく多くの皆さんと情報交換をしていきたいと思っております。ミニプラザの開催要望がございましたら、お気軽に最寄りの水産試験場企画総務部へご連絡下さい。

(釧路水産試験場 企画総務部主査)