魚体自動選別機の導入による高品質干しししゃも製品の開発試験の結果について
道東地方の晩秋の風物詩として知られるシシャモの簾干しの風景が今年も散見される頃となりました。釧路水産試験場では、平成11年度の水産物高付加価値化技術開発試験として、標題の試験を行いましたので、その結果についてご紹介いたします。
シシャモは皆さんよくご存知のように、北海道の太平洋沿岸だけに生息する日本固有種であり、十勝、釧路の両支庁が主産地で、干しししゃもなどに加工され、沿岸地域の特産品となっております。しかし、ししゃもは短期間に集中して水揚げされることと、鮮度低下が速く、かつ、加工処理中に手作業による雌8段階、雄は3段階の選別が必要であるため、微生物による汚染が心配され、迅速な加工処理が必要とされております。また、干しししゃもの製造技術は、加工業者個々の「経験と勘」に頼るところが大きく、製品の塩味や乾燥度合いのバラツキが課題となっております。このため、水産庁の補助事業である「水産物の高付加価値技術開発」の中で高品質な干しししゃも製品を製造するため「シシャモ自動選別機」を地元水産機械メーカー(株式会社ニッコー)と共同して開発し、事業主体である釧路市漁業協同組合に設置しました。今回の事業で導入されたシシャモ自動選別機の概要は図1に示しますが、1分間に120尾のシシャモを10種類の重量サイズ別に選別するという機能を持っている機械です。試験の内容は、釧路市漁業協同組合で従来の方法で作られた製品の分析と、魚体のサイズ別塩漬け方法及び乾燥時間と製品歩留りとの関係を中心に試験を行い、製品の塩味や乾燥度合いが均一となる製造条件を明らかにしてまいりました。
シシャモは皆さんよくご存知のように、北海道の太平洋沿岸だけに生息する日本固有種であり、十勝、釧路の両支庁が主産地で、干しししゃもなどに加工され、沿岸地域の特産品となっております。しかし、ししゃもは短期間に集中して水揚げされることと、鮮度低下が速く、かつ、加工処理中に手作業による雌8段階、雄は3段階の選別が必要であるため、微生物による汚染が心配され、迅速な加工処理が必要とされております。また、干しししゃもの製造技術は、加工業者個々の「経験と勘」に頼るところが大きく、製品の塩味や乾燥度合いのバラツキが課題となっております。このため、水産庁の補助事業である「水産物の高付加価値技術開発」の中で高品質な干しししゃも製品を製造するため「シシャモ自動選別機」を地元水産機械メーカー(株式会社ニッコー)と共同して開発し、事業主体である釧路市漁業協同組合に設置しました。今回の事業で導入されたシシャモ自動選別機の概要は図1に示しますが、1分間に120尾のシシャモを10種類の重量サイズ別に選別するという機能を持っている機械です。試験の内容は、釧路市漁業協同組合で従来の方法で作られた製品の分析と、魚体のサイズ別塩漬け方法及び乾燥時間と製品歩留りとの関係を中心に試験を行い、製品の塩味や乾燥度合いが均一となる製造条件を明らかにしてまいりました。
先ず、従来の方法で作られた製品の塩分と水分を測定したところ、魚体重量の違いによって、水分で10パーセント、塩分で1パーセントの差異が認められました。そこで魚体重量の違いによる塩水漬け直後の塩分を測定してみたところ図2に示すように、飽和塩水8秒間漬け込みで0.5パーセントの差異が乾燥工程前に生じており、また、魚体重量と乾燥歩留りの関係を図3に示しますが、乾燥歩留りも魚体重量の相違によって乾燥時間が異なることが判明しました。
以上の結果から、消費者に好まれる干しししゃも製品と言われる塩分2パーセント、水分65パーセントを目標にして、自動選別機による重量選別及び乾燥時間コントロールによる乾燥試験を4区分について行い、その結果を表1に示しました。この結果、選別機能が優れていることと、乾燥歩留り70パーセントに要する時間の設定も容易であることが明らかとなりました。また、乾燥時間コントロールによる製品の塩分と水分についても図4に示しますが、設定が可能であることが確認されました。また、魚体の大きさを手で選別したものと、自動選別機によって選別したものについて一般生菌数を測定した結果、選別機で選別したものが1オーダー菌数が少ない傾向が認められております。
本試験の結果、干しししゃもとして均一な味や、乾燥度合いを持つ製品を製造するためには、塩水漬け及び乾燥前の魚体のサイズ別選別が必要であることが分かりましたが、自動選別機の導入は、計量する重量の正確さと迅速選別を可能とし、高品質干しししゃもの製造には有効な方法であると言えましょう。
(釧路水産試験場 加工部 船岡 輝幸)