水産研究本部

試験研究は今 No.242「北洋丸(稚内水試)の一般公開を行う。ROVの実演に歓声!」(1995年10月20日)

北洋丸(稚内水試)の一般公開を行う。ROVの実演に歓声! 小さな見学者も大喜び

  本年2月に竣工した当場所属試験調査船北洋丸の一般公開が宗谷、留萌及び網走管内で行われましたので、開催状況などを紹介します。

  本年度は調査計画が機材のテストなどにより過密な状況となったことから、調査の最終日や、開催場所に近い調査海域で調査を行った日を一般公開日として計画しました。また、一般公開にあたり各種調査機器の説明用の札を作成し、調査機器には説明員を付けることとしました。

  まず、6月の公開はロシア海域の調査終了後に実施されたオホーツク海の海洋観測に併せて、6月15日(木曜日)に網走港で行いました。公開時間は午前10時から12時までの2時間で、天候にも恵まれ68名の見学者が訪れ、なかには釧路船籍の底引き船に乗船中のアメリカの研究者も含まれていました。また、近くにロシアのカニ運搬船が入港していて、船員が物珍しそうに船から見ていました。

  この後、一度稚内に帰港後、直ちにオホーツク海のケガニ幼稚仔調査に併せて、6月25日(日曜日)に紋別港で行われました。日曜日ということで公開時間を午前10時から午後3時までの5時間行い、途中雨が降るなどしましたが125名の見学者が訪れました。最初は訪れる人も少ないため、港で釣りをしている方に一般公開をしていることを宣伝し、岸壁を通る車の人に話をして見学していただきました。なかには旭川や富良野から来ている人もいて、めったに見ることが出来ない船を見学できて良かったと話していました。
  また、子供たちは監視用カメラ装置が気に入り、ブリッジと士官食堂にあるリモコンをいじっては喜んでいました。

  網走管内の一般公開では顕微鏡画像解析装置に使用するプランクトンを網走水試からお借りし、展示したところ、見学者には大変好評でした。

  7月は調査日程の関係から、留萌管内と宗谷管内で公開を行うことに日程を決定しました。しかし、羽幌港は観光シーズンに入り高速艇が入港していることや北洋丸の大きさから入港できず、一般公開を中止せざるを得ない状況になりました。いろいろと準備していただいた地元の羽幌町、羽幌漁協に改めておわび申し上げます。

  このため、留萌管内の当初日程を変更して、エビ・タコの調査中の7月16日(日曜日)に留萌港で午前11時から午後2時までの3時間公開しました。当日は留萌のお祭りの初日と重なったせいか168名が訪れ、公開開始から多くの見学者で船内は大忙し。なかには1時間以上船内を見学した中学生もいて、父親がしびれを切らしてしかる場面も。また、近くで釣りをしていて開始一番に駆けつけた方に、「いくらで乗船できるのですか。」と聞かれ、「見学だけです。」と答えたらがっかりしていました。

  エビ・タコ調査終了後、利礼海域でROV(リモコン水中ビデオカメラ)の試運転後、7月27日に鴛泊港で一般公開を行いました。公開開始は晴れていたものの、曇りから小雨が降り風が強いなど悪天候にもかかわらず、12時から午後3時までの3時間に137名の見学者が訪れました。ROVの実演を3回行いましたが、時期的に観光客が多く、フェリー待ちで訪れた観光客などから、画面に写し出される海底のウニやカレイなどに歓声が上がっていました。

  翌朝、鴛泊港を出港してADCP(多層型ドップラー式流速計)の調整を行った後に香深港へ入港し、午前9時から12時までの3時間の公開で194名の見学者のほかに、香深保育所の園児38名が訪れました。この小さな見学者には船員一同もビックリ。引率の保母さんと船員の誘導で無事船内へ、2班に分かれて船内を見学、説明員もいつもと勝手が違い悪戦苦闘、説明をよそに船内を走るなど、はしゃぐ園児に苦笑いでした。

  今回の一般公開ではどの港においても地元の方々の暖かいご支援を受け、水産試験場の最新鋭調査船を見学していただくことが出来ました。また、水産試験場と調査船について少しは理解していただけたものと思います。今後、北洋丸の調査活動が本道水産業の発展に大きく貢献できるよう、乗組員、研究者ともども決意を新たにしたところです。

  最後に調査中、各港に寄港した折りに、一声かけていただければ幸いです。(稚内水試企画総務部)