水産研究本部

試験研究は今 No.624「“バイオフィルム"を調べる」(2008年9月12日) 

“バイオフィルム”を調べる!

  今年度から国立医薬品食品衛生研究所より受託した「衛生管理における食中毒菌のモニタリング方法に関する研究」が始まります。この事業では、食品製造施設で見受けられる“バイオフィルム”について基礎的研究を行います。

  さて、このバイオフィルムは聞き慣れない言葉だと思いますが、私たちの身の回りでも目にすることができます。例えば、台所やお風呂場などの水回りで見かける排水口周辺のヌメリがこれに該当します。このヌメリを含めたバイオフィルムは複数種の細菌が集合したもので、表面に殺菌剤を噴霧しても、その内部までには殺菌効果が及ばないことが多いようです。また、洗剤などでもなかなかはぎ落とせないこともあるようです。

  食品製造施設などでは洗浄・除菌を徹底して行っていますが、ステンレス製作業台の脚の部分や、製造機械のキャスターなど、普段なかなか目の届かないところや、構造的に複雑になった部分などにバイオフィルムが部分的に強く付着していることがあります(図1および2参照)。

  これらバイオフィルムが付着した部分は直接、食品と接触しない部分ですが、間接的に接する可能性は十分考えられます。また、バイオフィルムがどのような細菌から構成されているのかも、よくわかっていません。衛生管理を徹底して行うためにも、バイオフィルムの特徴をよく知ることが必要になります。釧路水産試験場では、バイオフィルムを採集して、それがどのような細菌から構成されるのか、食中毒菌とどのような関係があるのかを明らかにするとともに、どのような方法により除去できるのかについて試験を行っていきます。(釧路水産試験場 利用部 北川雅彦)
    • 図1
      図1 ステンレス製作業台の脚部に付着したバイオフィルム

      (矢印で示した茶色の汚れ)

    • 図2
      図2 台車キャスター部に付着したバイオフィルム

      (矢印で示した焦茶色の汚れ)

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