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林産試験場

4-5 薬理・抗菌成分

4-5 薬理・抗菌成分

道産森林バイオマスの有効利用を目的に,平成5~7年度の北海道立衛生研究所との共同研究で,樹木や野生きのこについて各種の薬理活性試験や有害菌類生育抑制試験を行い,それらの新規利用法を検討しました。

ここでは,本共同研究において林産試験場が担当した研究の成果と,その後に発展的に行った試験研究の成果を紹介します。

きのこの薬理成分について

136種の野生きのこ・栽培きのこの70%アセトン抽出物についてACE阻害活性(血圧降下剤としての活性)を測定し,キツネノロウソク,マンネンタケ,コウタケ,ハタケシメジ,ブナシメジ,コキララタケに活性があることを見いだしました。

また,活性が高く,かつ食用可能なものとしてブナシメジに注目して成分を精査した結果,ACE阻害活性主要画分のIC50(活性を表す値であり,数値が小さいほど活性が高い)は470μg/ml,阻害物質は数種のオリゴペプチドであることが推察されました。

樹皮の抗菌成分について

道産樹木72種の樹皮について,アセトン抽出物の抗菌活性(植物病原菌や木材腐朽菌の真菌類に対する阻害活性)を測定したところ,ホオノキ樹皮に強い活性が見られました。そこで,アセトン抽出物に含まれる物質の単離・同定を試みたところ,eudesmol,magnolol,honokiolであることを見いだしました。

関連した文献には,以下の3つがあります。

樹皮抽出物の抗菌活性
森 満範ほか4名:林産試験場報,8(6),12-17(1994)

ホオノキ樹皮中の抗菌成分
森 満範,青山 政和,土居 修一:林産試験場報,14(1),1-5(2000)

北海道産野生キノコのアンジオテンシン変換阻害活性
津田 真由美ほか6名:林産試験場報,14(2),10-15(2000)