水産研究本部へ

中央水産試験場

海況速報(2004年04月)

平成16年度 第1号(通算 No.97)
平成16年 4月 30日

北海道立水産試験場

3月下旬から4月下旬の海況

海域別情報

日本海海域
対馬暖流優勢

道西日本海に暖水渦は見られず、対馬暖流は津軽海峡西方から奥尻島西方を北上し、武蔵堆西方から礼文島西方を流れています。茂津多岬西方沖を北上する対馬暖流の4月の北上流量は平年に比べて非常に多くなっています。水温偏差について見ると(水温偏差表参照)、積丹半島西方から北部の日本海沿岸側では水温の高いところが多くなっており、石狩湾奥部を含む積丹半島周辺まで表面水温が8℃以上と平年より1℃以上高くなっています。
余市における2月下旬以降4月中旬までの沿岸水温(旬平均)は、2月下旬に「かなり高い」となっていましたが、3月以降は「かなり高い」~「やや高い」と推移し、4月中旬には「平年並み」となっています。2004年1月から沿岸水温は平年より高く推移し、2月下旬の旬平均水温は1990年以来の高い水温となるなど、現在まで平年を下回った旬はありません。
道東太平洋海域
暖水塊の中央部

衛星画像を見ると、前回(2月)に引き続き41-00N、146-00E付近を中心に暖水塊が見えています。今回の観測ではこの暖水塊の南西側半分をとらえており、暖水塊の中央付近を観測することができました。0m層では、この暖水塊の中心部は41-30N、146-30E付近の6℃以下の冷水域(湧昇域)となっており、衛星画像の暖水塊の中央部の水温が低いことと一致しています。また、100m層でも水温5℃以下の冷水域が41-30N、146-30E付近に見えています。また、40-00N、144-20E付近にも暖水塊の一部が見えています(100m層で8℃以上)。一方、道東沿岸は親潮に広くおおわれ(100m層2℃以下)、親潮の一部は襟裳岬南方沖から暖水塊と津軽暖流のあいだを東北沿岸へ南下しています。また、50m層では1℃以下の沿岸親潮(*1)が襟裳岬を越えて西へ広がっています。水温偏差について見ると、暖水塊の海域を除き平年より低いところが多く見えますが、平年値に近く、前回(12月)に続いてほぼ平年並みの水温が多くなっています。
道南太平洋海域
水温低め

津軽暖流は沿岸モード(*2)になっています。50m層では水温2℃以下の沿岸親潮(*1)が室蘭沖に達しています。また、噴火湾中央部の50m層では3℃台の親潮系水が見えています。水温偏差についてみると、平年より低いところが多くなっています。
オホーツク海海域
宗谷暖流の足早い

荒天のため、網走沖までの観測となりました。表面水温では網走沖まで5℃以上となっており、また50m層でも網走沖まで4℃以上となっており、宗谷暖流は網走沖まで表層に現れ流れているようです。衛星画像を見ると、紋別沖付近まで5℃以上の宗谷暖流が見えていますが、網走以東では5℃以上の海域が見えないことから、宗谷暖流は網走以東で潜って流れているようです。水温偏差についてみると、沿岸側の宗谷暖流域は網走沖まで水温が高く、平年より2~4℃高くなっているところがあります。
資料
資料 観測期間 観測海域
青森水セ(東奥丸) 2004年3月29日〜3月30日 (東北日本海海域)
稚内水試(北洋丸) 2004年4月13日〜4月15日 (道西日本海海域)
稚内水試(北洋丸) 2004年4月19日〜4月23日 (オホーツク海海域)
釧路水試(北辰丸) 2004年4月13日〜4月19日 (道東太平洋海域)
釧路水試(北辰丸) 2004年4月22日〜4月23日 (道東太平洋海域)
函館水試(金星丸) 2004年4月12日〜4月14日 (道南太平洋海域)
中央水試(おやしお丸) 2004年4月13日〜4月19日 (道西日本海海域)

*1:オホーツク海の海氷の融氷水を含む親潮として特に沿岸親潮という名前が付けられています。
*2:津軽暖流が津軽海峡から襟裳岬まで大きく張り出してから南下している状態を「渦モード」と呼びます。これに対して,津軽暖流が青森県尻屋埼からすぐ岸沿いに三陸方面へ南下している状態を,津軽暖流の「沿岸モード」と呼んでいます。

水温平面分布図

0メートル
    • 表面水温の図
50メートル
    • 50メートル層水温の図
100メートル
    • 100メートル層水温の図
200メートル
    • 200メートル層水温の図

衛星画像

PDFファイル

水温鉛直断面図

次の断面図がごらんになれます。

お問い合わせ先

資源管理部 海洋環境グループ

  • 住所:〒046-8555 北海道余市郡余市町浜中町238番地
  • 電話番号: 0135-23-4020
  • ファックス番号:0135-23-8721