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林産試験場

4-3 タキシホリン

4-3 タキシホリン

 カラマツの心材部にはタキシホリンという物質が4%含まれています。この物質について下表のようにまとめました。

表 タキシホリンの性質と考えられる用途

 林産試験場ではカラマツ資源を効率的に利用するために,カラマツ心材からこのタキシホリンを抽出・分離し,またその残さを利用することを検討しています(図1)。

 近年,問題のシックハウス症候群について,その原因となるVOCのなかでも特にホルムアルデヒドが問題視されています。

 図2はタキシホリン誘導体のホルムアルデヒド吸着試験で,アンモニア処理タキシホリン粉末でホルムアルデヒドの吸着試験を行った結果,24時間経過後,約97%が除去されました。

特許 第3574114号 「ホルムアルデヒド吸着能を有する生成物及びその製造方法」 があります。

カラマツ心材を,おが粉製造工場や製材工場で木粉とし,抽出工程に投入します。抽出液を分離・濃縮することにより,高分子画分のアラビノガラクタンと低分子画分のタキシホリンが取り出せます。抽出残渣は家畜敷料やきのこ栽培培地等に用いることができます。
図1 タキシホリンの抽出工程
ホルムアルデヒド吸着試験の結果です。縦軸にホルムアルデヒド残存率,横軸に経過時間を示したグラフです。活性炭に比べ,タキシホリンが多くのホルムアルデヒドを吸着することが示されています。
図2 ホルムアルデヒド吸着試験
1) 鷲野 乾:New Food Industry,30,38(1988)
2) 中山 勉ほか2名:特開平6-248267
3) 神原 敏光ほか2名:特開平6-65074
4) 神原 敏光ほか2名:特開平7-223933

 詳細は,以下の文献に掲載されています。

カラマツのノコクズは宝の山か?
藤本 英人:林産試だより,4月号,(1999)

「カラマツ材成分の化学処理による有効利用」
林産試験場報,10(4),48(1996)

カラマツ材成分の化学処理による有効利用
林産試験場報 ,11(4),43-44(1997)

カラマツ材成分の化学処理による有効利用
林産試験場報 ,12(4),39-41(1998)
「カラマツ材成分の化学処理による有効利用」
林産試験場の平成7年度試験研究成果の概要
林産試験場報  478号 1996年 7月
林産試験場の平成8年度試験研究成果の概要
林産試験場報  484号 1997年 7月
林産試験場の平成9年度試験研究成果の概要
林産試験場報  490号 1998年 7月