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道南農業試験場

道南農試近くの交差点に立つ看板

「ふっくりんこ」(旧系統名:渡育240号)

  渡島中・南部、檜山南部地域(以下道南南部地域)では、北海道の他地域と比べて、平均気温が高く、秋も温暖であるため、「巴まさり」「ほのか224」等の晩生品種が、平成のはじめ頃まで栽培されてきました。しかし、これらの品種は耐冷性が弱く、平成5年(1993年)の大冷害を期に、「きらら397」、「ほしのゆめ」等の中生品種が道南南部地域にも普及し、平成14年(2002年)には道南南部地域で栽培される稲の98%がこれら中生品種となっていました。
 一方で、温暖で秋が長い道南南部地域の気候に適し、かつ耐冷性が強い晩生の良食味品種を求める声は強く、道南農業試験場では平成15年(2003年)に「ふっくりんこ」(旧系統名:渡育240号、登録番号:第13868号)を育成しました。本品種は、現在ではおいしい道産米品種のひとつとして広く認知され、道南南部地域の主力品種となっているほか、檜山北部地域、北空知地域においても栽培されるようになりました。


〇交配組合せ
♀空系90242B   ×  ♂上育418号(ほしのゆめ)
 「空系90242B」は、アメリカ合衆国のカリフォルニア州等で栽培される、中粒種の「国宝ローズ」を祖先とした系統「空系90242」が、分離後再固定し直して育成した良食味系統です。(同様に「空系90242」から分離後再固定して育成された良食味系統「空系90242A」を親として、道総研中央農業試験場で「ななつぼし」が育成されております)。上育418号(後の「ほしのゆめ」)は、良食味と耐冷性を兼ね備えた系統でした。この2つの系統を親として交配して選抜を行い、良食味と耐冷性を兼ね備えた晩生品種を育成しました。

 

〇品種の特徴
・長所-良食味で低タンパク、障害型耐冷性が強い
・短所-いもち病抵抗性がやや弱い、粒厚が薄い

 

〇命名の由来
 品種名候補は一般公募され、女性のみの構成の名称選考委員会において、応募総数4,655点の中から、函館市在住の石黒惠子氏の応募作品 「ふっくりんこ」が選出され、命名されました。 品種名は食味特性を意識して、炊飯時のごはんが白くてつやがあり、ひと粒ひと粒が ふっくら とおいしく炊き上がる様をことばの響きに込め、音感とともに表現しております。

 

〇「ふっくりんこ」の詳細な特性に関しましては、以下の情報をご覧ください。
 概要書学術情報


 
〇参考成績
 水稲「ふっくりんこ」の栽培可能地域の拡大(平成17年度指導参考事項)
 概要:栽培試験と簡易有効積算温度および出穂後40日間の日平均気温の積算値を用いて、栽培可能地域の検証を行い、新たに檜山北部地域(せたな町、今金町)、北空知地域(三笠市、美唄町、砂川市、浦臼町、新十津川町、芦別市、深川市、妹背牛町)で栽培可能と判定いたしました。

 

〇関連リンク
 道総研農試の育成品種一覧(水稲)

 

〇外部リンク
 北海道の水田農業 (北海道農政部生産振興局農産振興課) 
 「ふっくりんこ」等の品種別の作付面積などは、こちらからご確認ください。

 

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