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北海道林業試験場研究報告-第57号-

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第57号(令和2年3月発行)

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施肥とコンテナのセル容量がカラマツ播種コンテナ苗の成長に与える影響(1.6MB)
来田和人・今 博計
P1~11
カラマツ播種コンテナ苗の育苗技術を確立するために,施肥量とその形態,コンテナのセル容量が種子の発芽,苗木の生残,成長
に与える影響を調べた。120mlサイドスリットコンテナに通常(元肥:窒素0.16g/培土1L,液肥:窒素50ppmN(発芽期)~
100ppmN(成長期))の0倍(肥料なし)から2倍量の施肥量・施肥形態試験を設定し,2013年3月19日と4月19日の2回,エタ
ノールで比重選別した種子を播種した。また,2014年には150mlと300mlリブコンテナに通常の0.5倍から2倍の施肥量・セル容
量試験を設定し,水で比重選別した種子を4月24日に播種した。施肥量・施肥形態試験の処理別平均発芽率は3月播種が54.4%か
ら60.7%,4月播種が67.5%から70.8%となり,施肥量による違いはなく,発芽に対する施肥の発芽阻害は認められなかった。
いずれの試験でも施肥量が多いほど成長が促進されたが,施肥量・施肥形態試験の120mlコンテナでは通常量以上の施肥区で形状
比が高くなり8月以降,生存率が低下した。施肥量・セル容量試験の150mlコンテナでは,苗木の80%以上は苗長の苗木規格25cm
を超えたが,形状比が高く,根元径が苗木規格4mmに満たない苗木が多かった。300mlコンテナは,形状比が低く苗木規格を満た
す苗木が多かったが,通常の2倍量の施肥では生存率が低下し,通常量の施肥が最適と考えられた。

トドマツの風害抵抗性に関わる諸要因と地域間差異の検討(1.7MB)
石塚 航・阿部友幸・蝦名益仁・早坂一文・成田あゆ・今 博計・長坂 有・鳥田宏行
P13~23
トドマツの風倒被害率に由来地域の違いに起因する差異があったことを指摘した既報を受け,本研究ではトドマツ次代検定林での
立木引き倒しの実証試験を実施して,風害抵抗性に関わる根返り抵抗モーメント(R),ならびにRに関わる諸要因と地域間差異を
検討した。Rはバイオマスや幹体積,胸高直径といった樹体サイズと高い相関関係にあった。由来地域のみではRをよく説明しなか
ったが,最適モデルを探索すると,胸高直径や形状比とともに由来地域がモデルの構成要素に含まれ,地域間差異の存在が本試験
でも示唆された。さらなる検証は必要であるが,本試験では近隣地域由来がややRに秀でていることが示された。