水産研究本部

試験研究は今 No.359「北海道のホタテガイ漁業(養殖を除く)について」(1998年9月18日)

北海道のホタテガイ漁業(養殖を除く)について

  水産林務部栽培振興課では、毎年、各地の水産技術普及指導所を通じ、全道各地から集められる資料を基に、「浅海漁業概要調査」を行っています。この調査は、アワビ、ウニ、ホッキ、ホタテ(養殖を除く)について、種苗放流数、漁場管理等の漁業実態を集計したものです。

  ホタテガイ漁業については今までにも数多く報告されていますが、この資料に基づき近年のホタテガイ漁業概要についてお知らせします。

  北海道水産現勢での、平成7年の水揚げ高は1,669千トン、3,019億円で総生産高に占める割合は数量で24パーセント、407千トン、金額では19パーセント、587億円です。

  平成8年のホタテガイ(養殖除く)の水揚げは、27万トン、323億円で、根室、網走、宗谷支庁管内で全体の99.6パーセント(生産量)、99.4パーセント(金額)の生産高となっています。漁場面積は46,752ヘクタールで94.0パーセントとなっているので3支庁の漁業の概要を集計しました。

生産量

支庁単位の生産量の比較では網走支庁管内が14万トンで全体の52.1パーセントを揚げており、次いで宗谷支庁の10万トン、36.4パーセント、根室支庁3万トン、11.2パーセントで、他支庁合計で1千トン、0.4パーセントです。
    • グラフ

生産金額

  生産金額も生産量と同じように網走支庁が一番多く、149億円で46.0パーセント、次いで宗谷支庁が126億円、38.9パーセント、根室支庁は47億円、14.5パーセント、その他支庁で、1.8億円、0.6パーセントとなっています。

  ここで、単純に生産金額/生産量=単価を計算してみると、根室が166円/キログラムと一番高く、次いで宗谷129円/キログラム、網走は107円/キログラムと生産量、金額の多い網走支庁が平成8年では、安価な結果となりました。
    • グラフ
  種苗放流から漁獲までの経過年数では2~3年、3年、3~4年と区分すると3年後に漁獲する漁協が一番多く約70パーセントを占めています。ホタテガイを1トン当たり漁獲するのに必要な放流数別では2万個体以下の漁協数が16漁協あり、反対に同じ生産を揚げるために10万個体以上の放流を行っている漁協数は6漁協見られました。

浅海漁業概要調査(ホタテガイ)結果 平成8年
支庁名 根室 網走 宗谷 他支庁 合計
生産量(トン) 29,948 139,530 97,391 1,013 267,882
(パーセント) 11.2 52.1 36.4 0.4  
生産額(千円) 4,696,621 14,889,234 12,570,755 186,878 32,343,488
(パーセント) 14.5 46.0 38.9 0.6  
着業隻数 67 89 97 126 376
漁場面積(ヘクタール) 8,898 23,067 14,787 2,975 49,727
パーセント) 17.9 46.4 29.7 6.0  
※他支庁は檜山、渡島、胆振、留萌支庁の合計
※漁場面積は輪採制のところでは8年操業面積を集計

また、漁場管理ではおおかたの漁協で外敵駆除、追跡調査、禁漁、殻長制限(一部漁協)等が行われています。

(釧路水産試験場 主任水産業専門技術員 渡辺雄二)