水産研究本部

試験研究は今 No.378「食料・環境・日本の漁業を時代へ」(1999年3月19日)

食料・環境・日本の漁業を時代へ!-全国青年・女性漁業者交流会から-

  北海道でも春の気配が少し感じられる3月3、4日の両日、穏やかな陽光のもと恒例の第4回全国青年・女性漁業者交流会が東京で開催されました。

  元気な浜の、パワーある発表者からの、熱いメッセージを少しでも皆さまにお届けしたいと思います。

  当交流会は、「全国漁村青壮年婦人活動実績発表大会」として、昭和30年の第1回大会から毎年継続され、全国青年・女性漁業者交流会として本年に至っています。

  交流会へは、漁業者の他に普及員、行政からの参加助言も積極的に行われ、昨年にも増して女性漁業者のパワーアップが図られているのを実感し、漁村社会からの情報発信の重大さを考えさせられた大会でした。今回の大会には道内からの4グループを含めた60グループが参加し、5部門の分科会(漁業技術、増養殖、漁業経営、環境保全、地域活動)に分かれて活動発表がおこなわれ、漁業経営と地域活動部門での発表課題数が多い傾向にありました。

  ここで熱いメッセージを感じる発表課題名を少し紹介しましょう。
  • 夫婦綴り~乗れた獲れた波にゆだねて~
  • より開かれた漁業を目指して~地区漁業者との交流を進め~
  • ゆとりある漁業経営を目指して~次世代に夢を与えるための挑戦~
  • 海が好き!~少年少女OH!さかな教室活動報告~
  • 私たちのフィッシャーマンズライフ~二人三脚の漁家経営~
  • 地域に呼びかけ、ともに取り組んで~虹のかけ橋、子供達へのプレゼント~
  • 地域住民の意識も変える活動の輪~共同購入から魚食普及へ~
  • 海は命のふるさと~すべての水はやがて母なる海へ~
  • ここが好きだからいい形で残したい
  • 今日も「ママレード倶楽部」は元気です!
  • 花嫁続々漁村活き活き~島が挑んだ800日の軌跡~

 どうでしょうか。漁業で暮らすことを楽しみ、誇りにしている漁業者の生き方が彷彿させられます。
 
  研究討論会のテーマ「海の環境保全は青年・女性漁業者から」について、各分科会で活発な討論が行われました。そこではゴミをつくり出す部分から廃棄物処理までに至る生活から制度をはじめ、植樹、石けん、遊漁者マナー、「雨がやんだら…水に流して」の歌までにおよびました。
 
  漁業者自らが実践し、社会へ発信しなければならない位置にいること、生活の便利さと、環境保全に向かう日常生活のリスクをどう考えるか等奥深い、複雑な問題でありました。しかしそこには、漁業者が自らの子供たち、そして孫たちの為に海を渡していくんだという、力強いメッセージが常に込められていました。
 
  水産業で働く者として、海から得た大事なコトを社会へ発信することの重大さを、改めて感じさせられた春の二日間でありました。

  恒例の審査結果では、スケトウダラ資源を考える~資源を残して未来につなげる~ 羅臼漁協青年部石田一美さんが水産庁長官賞を、そして「手づくり弁当による活動資金づくり」~祝通帳の夢かなう~雄武漁協婦人部千葉ユリ子さんが、農林中央金庫理事賞を受賞しました。よかったですね、おめでとうございます。

(中央水産試験場 水産業専門技術員 吉田眞也)