ニセコ・積丹の湖沼

北海道南西部の後志総合振興局に含まれるこのエリアには、山地を中心に面積が0.1 km2(10 ha)に満たない比較的小さな湖沼が点在している。最大水深は、最も深い半月湖で約18 mと全体的に浅い。流域の土地利用はほとんどが森林で、人為的な負荷は少ないと考えられるが、支笏・洞爺の湖沼とは異なり、栄養レベルは貧栄養から富栄養とバラエティに富んでいる。神仙沼や長沼ではChl-a濃度が低い割にCOD濃度が高く、湖水は淡褐色を呈していることから、腐植物質の影響を受けていると思われる。

エリアの湖沼の水質

エリアの地形・気象など

日本海側の積丹半島から太平洋側の地球岬まで帯状に広がる一帯は支笏・洞爺火山群と呼ばれ、日本海側から南東に向って雷電火山群、ニセコ火山群、羊蹄山などが連続し、北側には、積丹半島から続く標高600~1300 mの後志火山性台地が連なる[1]。このうち、ニセコ火山群や羊蹄山は活火山である[2]。ニセコ火山群にあるイワオヌプリ大沼と羊蹄山麓にある半月湖は、かつて火口であった場所に水が貯まってできた火山湖、同じくニセコ火山群の長沼は、火山活動によってできた凹地に水が貯まってできたカルデラ湖と考えられている。ニセコ火山群の中腹、標高800 mほどのところには面積約0.04 km2(4 ha)の神仙沼湿原があり、湿原の東側に神仙沼がある。より海に近い雷電山の中腹、標高600 mほどのところにコックリ湖がある。また、積丹半島中央部にある当丸山の中腹、標高600 mほどのところに当丸沼がある。後志総合振興局には、本Webサイトで紹介する湖沼のほかに、ニセコ火山群にあるシャクナゲ沼や、京極町の無意根山にある大沼・小沼、島牧村の狩場山系にあるスナフジ沼など、山地を中心に数多くの小湖沼が点在している。

このエリアは日本海側気候に属し、一般に、春から夏にかけては温暖で日照時間が長く、冬は北西の強い季節風を受けて降雪量が多い。しかし、複雑な地勢のため、エリア内でも地域により気象状況は異なっている。年平均気温と年降水量は、平年値として、積丹半島西岸の神恵内で9.1℃と1257.6 mm、倶知安で7.2℃と1532.3 mmとなっている[3]。ニセコから羊蹄山麓にかけての一帯は道内屈指の豪雪地帯であり、積雪深は倶知安で160 cmほどになる[3]

エリアマップ
エリアの気象

湖沼の紹介

水質データ更新・UAV撮影画像

[1] 小疇尚・福田正己・石城謙吉・酒井昭・佐久間敏雄・菊地勝弘[編集],1994, シリーズ 日本の自然 地域編 1 北海道, 岩波書店, 東京, 192p.

[2] 気象庁, 日本活火山総覧(第4版)Web掲載版. URL: https://www.data.jma.go.jp/vois/data/filing/souran/menu_jma_hp.html(2025年3月27日時点)

[3] 気象庁, 過去の気象データ. URL: https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php(2025年3月27日時点)