水産研究本部

試験研究は今 No.311「豊富町漁協婦人部活動について」(1997年7月11日)

豊富町漁協婦人部活動について

はじめに

  平成9年3月4日~5日に東京で開催さやた「第2回全国青年・女性漁業者交流大会」に、本道の代表として4グルーブが参加しました。ここでは地域活動部門で発表された豊富町漁業協同組合婦人部の「魚価対策と付加価値の向上をめざして」の中から・グループの組織、・活動の動機、・活動の経過について紹介したいと思います。

グループの組織

  豊富町漁協婦人部は、昭和48年に設立され、一時活動を休止しましたが、現在は23名の部員で活動しています。主な活動は前浜清掃等環境美化活動、お祭や女性の集い等の地域振興活動、組合行事への協力等です。

活動の動機

  食生活の変化と輸入品の増加による魚価の低迷は、収入の多くを鮭によって得ている私たちに大きな影響を与えています。ブナ鮭の付加価値向上と消費拡大のため、婦人部内でいろいろな対策を検討したところ、加工品の製造が提案され、稚内水産試験場加工研究室(平成7年4月廃止)、稚内地区水産技術普及指導所の指導で、ブナ鮭を使った飯鮨の製品化に取り組むことにしました。

活動の経過

平成3年に第1回の試作品を製造し、それを婦人部内で検討して製造工程と調味配合を表一1、図一1のように決めました。製造にあたり食中毒を防ぐため、
  1. 製造場所である組合の加工場は、使用前に十分清掃し、道具と共にアルコール清掃をする。
  2. 水道水は氷等を利用して5度以下で使用する。
  3. 漬け込み後は、飯1旨を常に観察し発酵温度の状態によっては冷蔵庫の温度を変える。
  4. 観察の際にはPHと温度を記録しボツリヌス菌の発生に注意する。
  これらの作業は製造場所への出入りを制限し、帽子、マスク、手袋を着用して行いました。
  飯鮨は、1パック300グラムに詰めて、平成5年から町内で街頭販売を行っていますが、売れ行きは好調で生産量を毎年増やしています。また加工場を食品衛生協会に登録し、衛生管理者の資格も取得しました。

おわりに

  婦人部の手作りのため、数量は限定されますが、毎年楽しみに買いに来てくれる町民の方々との交流も深まり、消費者との対話も生まれ、今私達生産者にとって何が大切なことなのか婦人部内で真剣に考えるようになりました。この飯鮨を贈答品などに利用する人も増え、ブナ鮭の付加価値向上と魚食普及に役立ったと思います。婦人部では同じくブナ鮭を使って燻トバも試作しているので、今後、これも製品化し、販売したいと考えています。
☆この文章は第42回全道青年・女性漁業者交流大会資料をもとに、再構成しました。

(稚内地区水産技術普及指導所)
(しどうれん道北支所)
(稚内水試 水産業専門技術員)

    • 表1
    • 表2
    • 表3
    • 図1