水産研究本部

試験研究は今 No.322「平成9年産まれホタテガイ稚貝付着数について」(1997年10月24日)

平成9年生まれホタテガイ稚貝付着数について

  全道各地の今年のホタテガイ採苗器への稚貝付着状況について、各地区水産技術普及指導所の協力を得て調査を行いましたのでお知らせいたします。今年は44漁協分(支所を含む)の採苗結果の報告がありました。

1.付着状況

  今年の付着状況を例年と比較すると日本海南部が良~不良、津軽海峡、渡島太平洋は不良、噴火湾は並~不良、日高太平洋は不良、オホーツク海南部も不良、能取湖・サロマ湖は並~不良、オホーツク北部は良~不良、日本海北部は良~不良となっております。

  支庁別では渡島管内、日高管内が不良で、後志管内、胆振管内、網走管内が並~不良、宗谷管内、留萌管内が良~不良、そして石狩管内が並~良という状況でした。

  漁協別では報告のあった44漁協のうち良が9漁協(20パーセント)、並が10漁協(23パーセント)不良が25漁協(57パーセント)となっており、昨年と比較して不良の比率が上がり、良と並の比率が下がっています。

*図の数値は最後に報告のあった平均値を表示した。(百単位)タマネギ袋やネトロン袋網では1袋当たり棒網では網地100グラム当たりの数とした。

  図-1、表-1に地区別の採苗器1袋当たり(安浦、大船、鹿部、豊浦、虻田、有珠では棒網を用いているので網地100グラム当たり)の付着数を示しました。日本海南部が48~4,970個、津軽海峡は114~381個、渡島太平洋は1,150~3,000個、噴火湾は229~70,473個(垂下期間が短いものは除く)、日高太平洋は4~76個、能取湖・サロマ湖は1,024~18,454個、オホーツク南部では244~3,267個、オホーツク北部は520~7,571個、そして日本海北部では1,032~4,241個という結果でした。

  平成8年に比較して渡島太平洋、噴火湾、日高太平洋、オホーツク南部が不良でした。
    • 図1
海域 日本海南部 津軽海峡 渡島太平洋 噴火湾 日高太平洋
付着数 48~4,970個 114~381個 1,150~3,000個 299~70,473個 4~76個
海域 能取・サロマ湖 オホーツク南部 オホーツク北部 日本海北部
付着数 1,024~18,454個 244~3,267個 520~7,571個 1,032~4,241個

2.採苗器垂下時期

  津軽海峡が5月3日~10日、日本海南部が5月16~27日、日本海北部が5月16日~31日、オホーツク北部では5月17日~25日、オホーツク南部では5月20日~29日、能取湖・サロマ湖では6月2日~14日と順に採苗器が垂下されました。また、渡島太平洋と噴火湾は5月25日~7月2日に、そして日高太平洋では6月13日~23日にかけて垂下されました。今年は昨年と同様、ラーバの出現が遅れ、津軽海峡、日本海、オホーツク海、根室海峡、日高太平洋で例年より一周間程度遅い時期となっています。渡島太平洋、噴火湾では例年と同様の時期でした。

3.ヒトデの付着状況

  ヒトデの付着状況は、報告のあった中では日本海側では平均24個/袋とかなり多く付着していました。また、オホーツク海では平均0.3個/袋で少なく、噴火湾では皆無でした。

4.まとめ

  平成9年の稚貝付着数は噴火湾とオホーツク海で例年より減少し、日本海では昨年並みといった状況ですが、付着の少なかった地域では他地区から移入して必要量は確保した模様です。今年も採苗器垂下時期が遅れたようですが、7月の水温の上昇により、稚貝の成長は良かったようです。

(網走水試 水産業専門技術員)