水産研究本部

試験研究は今 No.257「試験研究地域プラザ開催する(パート2)~磯焼けの海をいかす~」(1996年3月8日)

試験研究地域プラザ開催する(パート2) ~磯焼けの海をいかす~ 平成8年2月27日(火曜日)中央水試では地域プラザを開催しました。

  このプラザは、毎年特定のテーマを設定し、全道2カ所ずつ、シンポジウム形式で開催されて来ました。余市での開催は管理研究棟が完成した平成6年以来でした。

  今回のテーマは、水試の重点プロジェクト研究の柱の一つである「磯焼け」としました。

  磯焼けは、日本海漁業振興の障害となっていて、漁業現場では一刻も早い解決が望まれています。最近、ウニ除去による海藻群落の回復が実証されるなど、磯焼け漁場での生産性向上に展望が見えてきました。そこで、磯焼けを克服するための技術開発の現状についての理解と共通認識を深め、一日も早い磯焼け対策の実践を推進することを主目的としました。当日は石狩・後志管内の漁業関係者や道の関係機関など、あわせて約100名が参集しました。村上場長の挨拶に続き、真田副場長を座長として、会議が進められました。
まず、跡部水産工学室長が「磯焼けの研究及び対策の現状と展望」と題し、参加者に全体のイメージをつかんでもらえるよう、話題提供をしました。

  次に、原子力環境センターの赤池研究員から「磯焼け地帯における局所的コンブ繁茂域」について、水中ビデオ映像を使った紹介がなされ、次いで、中央水試資源増殖部の吾妻科長から「海藻群落の造成技術」について、寿都町の矢追・六条実験区で行われてきたウニ除去による海藻群落回復試験に関するこれまでの研究成果が報告されました。引き続き、後志南部地区水産技術普及指導所の吉田主査から「ウニ肥育技術の現状と問題点」について、海を生かす実践と現状が、分かりやすく紹介されました。休憩をはさみ、新しい取り組みとして、まず、中央水試加工部の今村科長が「ウニ肥育用餌料の開発・改良」と題し、魚肉給餌コンブ給餌の問題点や配合餌料による改良試験などの概要を紹介しました。

  発表の最後は、道水産部栽培漁業課の滝沢係長から「磯焼け対応システムの開発について」と題し、平成7年度からマリノフォーラム21が事業主体となって利尻島で開発実証試験が始められているウニ除去試験と石灰藻剥離試験の開発経過などが紹介されました。

  今回のブラザを通じて、石狩・後志管内全体の漁業関係者の皆さんに、磯焼け対策についての共通認識と理解が深められたことと思います。

  発表の後、意見交換に入りましたが、出席いただいた方々からは、「局所的に繁茂したコンブの子のう班形成状況」についての質問や、「ウニ除去の時期および方法と、除去のインターバル」に関する質問のほか、「成長に5~6年もかかっている地区のキタムラサキウニの漁獲サイズ(制限殻長)の見直しについて」の意見や、試験場の磯焼け研究に対する基本的な姿勢などについて、貴重なご意見を頂戴し、予定時間を大幅に上回りながらも、盛会のうちに終了しました。 (中央水試企画情報室)
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トピックス

平成7年さけ・ます幼稚魚の沿岸調査結果報告会開催される

  去る2月23日(金曜日)、中央水試を会場に、標記報告会が開催され、国と道のさけ・ます研究者や道の担当者など、約25人が参集しました。はじめに水産庁さけ・ますふ化場と道立水産艀化場から5つの基本講演が行われ、その後、3件の7年度調査結果が報告されました。

  この中で、中央水試海洋部の平野環境生物科長が「増毛沿岸のサケ幼稚魚の食性とプランクトン組成について」と題する報告を行いました。
  この調査事業は、北部日本海区のサケ回帰率の変動要因を調べることを主な目的として、平成7年度から始まったものです。
  この日の報告で、放流されたサケ稚魚には、
  1. サケ稚魚降海期の生活域と基礎生産との関係、
  2. 餌料となるプランクトン(バルバクチス類)の出現数との関係、
  3. 競合関係が予想される魚(ホッケ幼魚)の存在、が示唆されるなど、興味深い報告がありました。

(中央水試企画情報室情報課)
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