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道南農業試験場

平成19年度道南農試公開デー


 今年は過去最多の300名を超えるご参加をいただきました。
 平成19年度道南農試公開デーが7月26日(木)に開催されました。今年も好天に恵まれ、過去最高だった昨年の205名を優に超える321名もの多数のご参加をいただきました。大変ありがとうございました。来年も、この時期に開催の予定です。みなさまのご来場をお待ちいたします。


0.開会

 午後1時から公開デーは開始されます。
 例年のようにこの日も朝から晴れ渡っています。最高気温は25.7℃でしたが、日差しが強くじりじりと暑く感じられました。熊谷場長の挨拶にも力がこもっています。
看板  挨拶

1.よくわかる場内見学会

 見学会は3回行われましたが、各回とも大勢の方に参加いただきました。
 スタートは道南農試のシンボル「ユリノキ」前からです。花の盛期は6月下旬ですのでほとんど花は見られないのですが、わずかに花が残っていました。花の後には「オクラ」に似た実がなっていたのですが、この木の繁殖は難しいようです。あまり見られない木のためか、みなさん興味深げです。大きくて独自の形の葉も特徴の一つです。
見学1

・有機物を利用したトマト栽培

 さまざまな有機物を利用したトマトの栽培技術を試験しています。水産業が盛んな道南地域において発生するホタテや魚などの未利用資源を有効利用するため、これらを原料に作られた堆肥や肥料の施用法を研究しています。
 有機肥料によってトマトはおいしくなるのか、といった質問が多くありましたが、はっきりとした味の差は見られないようです。
見学2

・土の観察(畑の下はこうなっている)

 3回目となる土の観察です。普段めったに見られない土の中を見てみようとおこなわれました。1m以上も掘った土をみるといくつもの層に分かれています。これは大野川により何度も土や砂が運ばれたためです。
 ニンジンの根が1m近くまで達している様子をみて、皆さん驚きの声を上げていました。ニンジンの根は赤くて見やすいのが好評でした。
 横には肥料の量を3段階に変えて栽培したキャベツもあり、肥料の効果を実際に見ることができ、皆さん興味深げでした。
見学3  見学4  見学5

・いちごの新しい品種と栽培法

 道南農試ではこれまでに「きたえくぼ」や「けんたろう」、最近では「道南27号」、「道南29号(共同提案)」などすぐれたイチゴの品種を作ってきましたが、これら品種改良のやり方や新しいイチゴ品種などを紹介しました。
 また、土壌の上で栽培する場合に比べて作業が軽減される、ベッドの上でいちごを栽培する高設栽培といちごの葉柄中の窒素濃度を調べることによりムダをなくした適正な施肥量を決める技術(栄養診断技術)の研究を紹介しました。
見学6  見学7

・生物農薬を使ったトマト栽培

 トマトには多くの病害虫が発生し、化学農薬による防除が行われていますが、できるだけ農薬を使わないクリーン農産物が求められてきています。
 化学農薬の使用を減らし、病害虫を押さえるためには微生物や害虫を食べる生き物を利用した生物農薬が有効な手段の一つです。これらの北海道の気象条件やトマトの病害虫への適用性を明らかにし、クリーン農業を推進していきす。
 これら生物農薬資材のトマトに対する使用法の試験について紹介しました。
見学8  見学9

・イネの品種いろいろ(大型ガラス室の水稲栽培施設と水田での選抜)

 大型特殊温室内で年間2回稲を栽培して品種の開発を促進します。この温室では温度や日長など真冬でも稲が生育できる能力を持っています。水田では耐冷性、耐病性に優れた品種候補の選抜を行っています。
 このような中から、道南向けのおいしくて寒さに強い水稲新品種「ふっくりんこ」を開発しました。「地産地消」を推進するために、地域限定ブランドのお米として期待されています。
見学10  見学11

2.展示コーナー

 パネルでは道南農試のあゆみ、研究各科および技術普及部の歴史、これまでの研究業績、現在の業務内容等を紹介しました。
 展示では害虫標本、アスパラガスの根の様子、土の見本、高設栽培イチゴなどの実物を展示しました。また、トマトの灰かび病や葉かび病などの罹病株の実物を展示しました。
 ほ場では近くで見られない実際の作物を間近で見ることができます。
展示1  展示2  展示3

展示4

3.体験・実験コーナー

 農作物の小さな害虫を大きく拡大してテレビモニタ画面で観察できるようにセットして、参加した子供さんにも実際に操作して体験していただきました。
 精米体験ではたくさんの子供たちが玄米を搗いていました。白くなるにまでにはかなりの時間がかかったようです。
 また、土の種類や色のちがいで、色水の吸着度合いが違うことを分かりやすい実験で紹介しました。
実験1  実験2  実験3

4.相談コーナー

 家庭菜園での困りごとや悩み事など、さまざまな相談を受けました。病害虫や生理障害、果樹のせん定法などの管理に関する事柄が多かったようです。
 全部で55件の相談があり、開始直後から終了直前まで多くの相談者のかたでいっぱいでした。
相談1  相談2

5.試食

 道南農試で育成した道南地域向けのお米、「ふっくりんこ」と「ほしのゆめ」を食べ比べていただきました。また、場内のハウスで栽培された冷やしトマトと四季なりイチゴも賞味していただきました。最後の方では足りなくなるものもでて、申し訳ございませんでした。
試食1  試食2

6.その他

 道南農試公開デーに際しましては事前に開催の案内を北海道新聞(7/25)、函館新聞(7/25,7/26)に掲載していただきました。また、当日は道南地域のFM局である「FMいるか」による試験場からの生中継がありました(ブログでもその時の模様をアップしてもらいました)。さらに公開デーの様子を北海道新聞(7/30)、函館新聞(7/28,8/2)に掲載していただきました。
 おかげさまで地域の皆様に道南農試公開デーを広く知っていただけました。この場を借りてお礼申し上げます。